例えば、XXとか。

どこの誰かもわからない、もう会う事なんてないと思ってた。

偶然に会うなんて事を夢にも見たが、それはなかった。


その彼が、スーツを着て静かに座っている。


こんな巡り合わせがあるのかと、縁を… 運命を感じてしまう。

両家が揃い、挨拶。

私に新しく父が出来る…… それがどんなに複雑か。

隣の母には笑顔が、照れ臭くなるが、母が幸せならと思う。

こんな人生があるとは思ってもみなかったが、幸せの形はそれぞれだと思う。




「 伊織ちゃん、これからよろしくね、息子の碧斗も 」

「 はい、こちらこそ。母をよろしくお願いします 」




彼は、木崎 碧斗(あおと)。

母と私は、木崎の姓になる。



それを実感した私は、少し寂しいと思った。

一目惚れした彼が私の家族に、兄になる。

そして……



彼に恋が出来なくなった。



もうすぐ冬休み、新たな生活が始まる。




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