浅葱色の魁
頬に冷たい手の感触を感じ

目を開けた


「…土方さん? あれ? 寝てた?」



「熱があるみてぇだな
今夜は、陽乃に泊まってもらうか」



「熱…?」



「平助、てめぇ熱があんだよ!
今朝、稽古で無理したんだろうが!」



「…そ、かな」



「自覚なしかよ!
しばらく稽古禁止!
刀傷をなめんなよ!
血を多く失って、死ぬとこだったんだから
看病は、陽乃がいいんだろ?」


「ごめん…」


「ばぁか!謝ることじゃねえよ!
ほら、目を閉じてろ!」



平助が、目を閉じても
土方が部屋を出る気配がなく


そろっと目を開ける




「寝付くまでいてやるから」



〝寝れないだろ!!!〟



「ほら!早く寝ろよ!」



「……ジロジロ見るな」



「普段ガサガサしてる平助が、大人しいと
のぶに似てるなって
思い出してたとこだ」



「……あっそ、おやすみ」


「おやすみ」





タヌキ寝入りしようとしたが
本当に寝てしまった平助の頬を
土方が撫でる




「似すぎだろ…」





無性に平助の肌を確かめたくなり
襟巻きに手をかけた



〝のぶの鎖骨あたりには
小さなホクロがあったはず〟




「平助様」



土方が肩を上げた



「陽乃 入れ」


「土方さん あら?平助様お休みでしたか」


「熱が出たようだ
今夜、泊まれるか?」


「はい!私が看病致します!」


「じゃあ、頼んだぞ」





土方が部屋を出た後




陽乃が平助の襟巻きを見る





〝触られた?
やはり、まだ浅野家にいるべきだったわ〟


















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