浅葱色の魁
伊東道場から、呼び出しがあり

数日、迷いに迷い

これからも、藤堂平助として生きていく


〝逃げたくない〟


強く決心をして、立ち上がった


大蔵は、体の関係を迫った



「バラされたくなければ、言うことを聞きなさい」


「大蔵先生、ここへは来ません
もし、バラすと仰るなら
こちらも、大先生にバラします」




恐怖で、震える手がバレないように
凛と立ち、真っ直ぐに目を見て言った



俺は、藤堂平助でいることを諦めない




「さよなら 大蔵先生」




伊東道場を出ると


一目散に、試衛館に向かった





「山南さん!!!」



「よう!平助!」




土方が、声を掛けたが

山南へ向かう



「山南さん!!」


「どうしたんだい?平助君」



ゴンッ



「イッテェ!!!」


「挨拶くらいしろよ!クソガキ!」


拳骨を落とした土方を睨む


「は?お前に用はねえよ!」


「お前とはなんだ!!」


「お前だって、クソガキっつったろ!!」


「その前に、平助って呼んだだろ!!!」


「え? 呼んだ? ごめん」


「……」



2人の言い争いをいつ止めようかと
心配していた回りは、拍子抜け

中でも、土方は面食らっていた


こんなにあっさりひくと思っていなかった



「山南さん!!俺さ!
今日、すげえ一歩を踏み出したから!!」


仔犬が主人に褒めて!
と強請る姿に似ていた


「そうか!よく頑張ったね!」


理由を聞かずに、山南は、誉めた


「へへっ じゃあな!」


「えー!平助君!僕と手合わせー
あー、いっちゃった…」


拗ねる沖田を近藤がポンポンと肩を叩き
微笑んだ



「また今度だな」



「ったく!何しにきてんだか…」






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