浅葱色の魁
その場を去ろうと動けば


スッ



2人に挟まれる




「何のつもり?…人攫いでもすんのかよ?」




「徳川家の為…」




「顔が似てるくらいで、勘弁してくれよ
俺は、新選組 組長 藤堂平助!
徳川家とは、縁もゆかりもねえ!
失礼する!」



サッと走り、屋根上に上がる






「待て!逃げる気か!!」


大柄な男が平助を追い、屋根上へ



「その大きさで身軽なんてずるい」


「なぜ、逃げる!?」


「いい加減、人違いも迷惑なんだよ」


「他にも、貴様を口説きに来たか」


「ああ、俺は藤堂平助だ
徳川なんて関係ない!」


「こうなりゃ、力づくだ…
徳川家を守る為だ!!!」



両腕を掴まれ、身動きが取れなくなった

体を触られたら、女だとバレる


大柄な男の額を目がけ


ゴンッ



思い切り頭突きをする



男がふらりと屋根から落ちる 






「…平助様! 血が…」





下にいる細い男が、青ざめる

平助の額の古傷が割れ

大量の出血





「お前らと関わりたくねえんだよ
俺は、徳川なんて知らねえ!」






そのまま屋根上を去って行く







平助の後ろ姿を眺め




「なんて豪快な人だ…」






益々、惚れ込んだのであった














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