浅葱色の魁
一方   平助は…

わざと攫われて屋敷の一室にいる



「松平様…いい加減にしてくれよ」




松平春嶽 康正 


そして



先日の大柄な男と細い男



4人をギロリと睨む





「徳川家定様の子を産んだ志賀様に
判別して頂く
幾ら其方が否定しても
母親が認めれば、言い逃れ出来ぬ」




〝母親が… 来るのか…〟






呆然と立ち尽くしていると


平助の母 志賀がやって来た




表情ひとつ変えず




「違います
この者は、私の息子ではありません
良く似た顔ですが
私には、わかります」





〝2度も捨てられた?
要らなかったのなら、なぜ産んだ?〟





「もういいだろ
違うってわかったんだからな
俺は、新選組に帰る」





屋敷を出る





「待ちなさい!平助君!
想定外だったんだ!
あの2人がいないところで
志賀様と面会して貰う予定だったんだ」



「しつこい!!人違いってわかっただろ!」




「君の為に、知らないフリをした
志賀様のお気持ちを考えてくれ!」



「だったら、俺やその人の意向も
考えろよ!うんざりなんだよ!!」







がむしゃらに走り

屯所までたどり着く



「藤堂さん!!おかえりなさい!!」



息を切らし、肩を上下させながら
屯所を進む



広間に集まった幹部らに



「ただいま!」


「うえっ!!平助!!無事だったのか!!」


「当たり前だ!!!陽乃は!?」


「今日は、泊まりで…おい!」



ズンズンと陽乃のところに行く






その後を幹部も追う






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