浅葱色の魁
二
いつものように、道場から帰ると
使用人から声を掛けられた
「平助様 文が届いております」
「ありがとう!頂戴!」
「こちらへ」
すぐに渡してくれればいいのにと
不思議に思いながらも、ついていく
「こちらです」
部屋を覗くと女の子が背を向け
ちょこんと正座をしていた
「……誰」
「さあ? 平助様に最初に名乗りたいとか
文も直接お渡ししたいそうで…
お兄上の名前がありましたので
くせ者ではないと存じますが…」
「そう」
スタスタと女の子の近くへ行くと
頭を下げた
「え!いやいや!そんなかしこまる!?
頭上げて!お願い!!」
「お初にお目にかかります
私、陽乃(ヒノ)と申します
こちらを平助様に」
「ありがとう」
文は、養子に出た3番目の兄安斐からだった
ひょんな事から、くノ一を拾い
くノ一に平助を守るように指示した
という内容だった
「……くノ一」
「はい!」
「えと……忍ってこと?」
「はい!」
「……落ちてたの?」
「え?」
「兄上に、拾われたの?」
「安斐様は、命の恩人です!
大切な弟君を私にとお命じ下さりました!
私が、平助様をお守り致します!!!」
「……いいよ
陽乃より、俺の方が強そう」
「武道は、そうでしょう
私が、お守り致しますのは、それ以外です」
スススと平助に近づくと
「安斐様より、伺っております
弟君であると同時に、妹君でもあると
外では、何かとありますでしょ?
私が平助様に不自由がないように
立ち回り致します!
何でも、お申しつけ下さい!!!」
今すぐ何か用事をくれ!という
期待に満ちた目が、平助に刺さる
「あのさ
兄上は、元気だった?」
「元気そうに見えましたが…
病をお持ちでしたか?」
「いや、俺から文を出すことは禁止されてて
変わりないかなって…」
「平助様の知る安斐様を存じませんが
私の知る限り、とても元気です!
平助様の事をたくさん教えて下さいました
あ!他のご兄弟の話も!
とても仲の良い兄弟で、安斐様の自慢だと
兄弟が頑張っているから、自分も頑張れると仰っておりましたよ!」
「……そっか」
「平助様 こっそりご兄弟に文を届けるくらい、私には容易いこと
お命じ下さい」
「いいよ 陽乃 君を傷つけたら
兄上に怒られるだろうから
俺も、頑張らないと!!」
「ふふっ 安斐様の話通り!
お優しい!平助様よろしくお願いします!」
「こちらこそ!よろしくな!陽乃!」
ニカッと笑う平助に、陽乃の頬が
赤く染まったこと
平助は、気づくことはなかった
使用人から声を掛けられた
「平助様 文が届いております」
「ありがとう!頂戴!」
「こちらへ」
すぐに渡してくれればいいのにと
不思議に思いながらも、ついていく
「こちらです」
部屋を覗くと女の子が背を向け
ちょこんと正座をしていた
「……誰」
「さあ? 平助様に最初に名乗りたいとか
文も直接お渡ししたいそうで…
お兄上の名前がありましたので
くせ者ではないと存じますが…」
「そう」
スタスタと女の子の近くへ行くと
頭を下げた
「え!いやいや!そんなかしこまる!?
頭上げて!お願い!!」
「お初にお目にかかります
私、陽乃(ヒノ)と申します
こちらを平助様に」
「ありがとう」
文は、養子に出た3番目の兄安斐からだった
ひょんな事から、くノ一を拾い
くノ一に平助を守るように指示した
という内容だった
「……くノ一」
「はい!」
「えと……忍ってこと?」
「はい!」
「……落ちてたの?」
「え?」
「兄上に、拾われたの?」
「安斐様は、命の恩人です!
大切な弟君を私にとお命じ下さりました!
私が、平助様をお守り致します!!!」
「……いいよ
陽乃より、俺の方が強そう」
「武道は、そうでしょう
私が、お守り致しますのは、それ以外です」
スススと平助に近づくと
「安斐様より、伺っております
弟君であると同時に、妹君でもあると
外では、何かとありますでしょ?
私が平助様に不自由がないように
立ち回り致します!
何でも、お申しつけ下さい!!!」
今すぐ何か用事をくれ!という
期待に満ちた目が、平助に刺さる
「あのさ
兄上は、元気だった?」
「元気そうに見えましたが…
病をお持ちでしたか?」
「いや、俺から文を出すことは禁止されてて
変わりないかなって…」
「平助様の知る安斐様を存じませんが
私の知る限り、とても元気です!
平助様の事をたくさん教えて下さいました
あ!他のご兄弟の話も!
とても仲の良い兄弟で、安斐様の自慢だと
兄弟が頑張っているから、自分も頑張れると仰っておりましたよ!」
「……そっか」
「平助様 こっそりご兄弟に文を届けるくらい、私には容易いこと
お命じ下さい」
「いいよ 陽乃 君を傷つけたら
兄上に怒られるだろうから
俺も、頑張らないと!!」
「ふふっ 安斐様の話通り!
お優しい!平助様よろしくお願いします!」
「こちらこそ!よろしくな!陽乃!」
ニカッと笑う平助に、陽乃の頬が
赤く染まったこと
平助は、気づくことはなかった