浅葱色の魁
「平助、無理に聞きだそうとは思ってねぇ
だが、これだけ皆に心配掛けたんだ
ちゃんと反省しろよ!」



「はい」













泊まりになった陽乃と庭を歩く


「御母上様に会えましたか?」


「あの人は、俺の母親じゃない」


「え?」


「言われたんだ
『息子ではありません』って」


「……」


「だから!あの人は、俺の母親じゃない!」


「平助様…」


「陽乃」



まっすぐに陽乃を見つめ



「あちらに戻るか、俺のそばにいるか選べ」



「……やはり、お気づきでしたか
私は…」


陽乃が俯いたのを見て


「浅野家を解散させ、春嶽の元に戻れよ
性別を報告してもかまわないから」



陽乃を残し

平助がひとり自室へ帰る




蹲り涙を流す陽乃へ
沖田が歩み寄る




「話してる姿が見えたので…
あちらに座りましょうか」



しばらく泣いて、落ち着きを取り戻し


「私は、平助様を傷つけてしまいました
平助様は、私の嘘を信じて気づかないフリをしてくれてたのに…
こんな形で裏切って…
私…… 平助様が喜ぶと思ってたの……
平助様のお気持ちを考えたら
すぐに間違いに気づいたはずなのに」


「陽乃も平助君も
自分を追い詰めすぎなんだよ
何でもひとりでやろうとするから
平助君は、一体何者なの!?」


「藤堂平助それ以外の何者でもありません」



「それ、答えになってないよ」



「いえ、これが答えなのです」










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