浅葱色の魁
近藤の部屋に幹部が揃い

陽乃が呼ばれた




今までの経緯と



「出来れば平助から聞きたかったが…
そんな事を言っている場合じゃなくなった
伊東さんは、平助を新選組で
守って欲しいと言っていた
鈴木が、平助の命を狙うからと」


「平助が厠に行っている間に
熱心に頼まれたんだ
恐らく、鈴木が本気だから
伊東さんも焦っているんだろう
有助も手伝ってくれるって!」



土方と永倉が会合でのことを話した




近藤が陽乃に微笑む




「平助を死なせたくないんだよ
平助がいくら強くても、忍だとしても
危険だとわかっていて
見捨てることは、出来ない
知っていることを話して欲しい」



「平助様が、ご自身で残ると決めたのなら
勝算がおありなのでしょう
私は、平助様を信じます」



「俺達だって、平助を信じてる
だがな!アイツが自分の身を守った事が
今まであったかよ!?
勝算というより…
死に急いでいるようにしか、見えねぇんだ
まだ、若い 腕も良い
頭だって相当使える
でも、いつだって自分を後回しにする
俺がどれだけ説教したって
好き勝手して、結局は皆に心配掛けてる
もしもってことがあっちゃ
もう、取り返しがつかねえんだ!!!」


土方の熱意に陽乃が目を泳がせる



「額の怪我…
あれはね、俺を守って負った怪我なんだよ」



近藤が、目を潤ませた




「暗闇には、慣れているのに…
どうしても月明かりに頼ってしまってね
敵に背を向けてしまったんだ
平助は、廻りを気にせず
俺を助けに走って来た
それで… 斬られたんだよ…」




平助が死にかけた時の姿を思い出し
膝の上にあった手を握る



「平助様は、忍ではありません
忍なのは、私です
私は、春嶽様の指示で
平助様の身辺を探る為に近づきました
優しさ、聡明さに惚れ
私は、平助様に仕えることにしました
ですが… すべてバレておりました
もう、平助様の意に反することは
したくありません」








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