浅葱色の魁
伊東の顔をしばらく見て



「伊東さんに… 話しておくよ
どうして、伊東さんを選んだのか」




平助が、唇を噛み締めた




「俺……徳川家定の実子なんだ」




伊東が、目を見開いた



「どうしても… 徳川に関わりたくない
藤堂平助として、生きたいんだ
だから…」




平助がポロポロと涙を流す





「俺…」




「もういいよ わかった
俺は、全て捨てる
黙ってここを脱けよう
そして、平助と生きる
俺が、藤堂平助を守る!!!」




伊東が、再び九州行きを覚悟した








「2人で、生きていこう」












「ごめん… 伊東さん…
伊東さんに弟を裏切らせるなんて…」



「新選組の事は、案ずるな
三木三郎の計画は、すでに話してあるんだ
奴らなら、回避してくれるだろう」





伊東の胸で泣いた






徳川幕府から追われ
新選組から追われ



それでも



藤堂平助でいることを諦めたくなかった





そんな自分の我が儘に伊東を巻き込むこと
その罪の重さを感じ


泣かずにはいられなかった














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