浅葱色の魁
話し合いが終わる頃




「俺は、今夜… 誠を抱く」





慶喜が宣言した





「馬鹿なの? そんな誰も興味ないことを
この場でいう必要あるのか?」



「ああ…俺には、意味のあることだ
狼の女を抱くということ
噂ではなく、真実にしておかなければな」



「……好きにすれば」



平助が立ち上がる



「春嶽、誠の世話人に伝えろ
医者に休むよう言われているから
寝床の準備をしてやれと」


「はい」


部屋を出ると平助が春嶽に訊ねる



「そんなにわかりやすい?」


「ええ、嫉妬されるのは、当然かと…」


「嫉妬ねぇ……
どうせ、慶喜のものになるのに」


「心までは、手に入らないとわかっているから、わざわざ宣言をして、土方へ
自分のだと言いたかったのでしょう」


「バカバカしい……」








〝長く生きることなんて
考えていない…
俺は、楯になることしか考えてない
そういう意味では、この命は
慶喜のものなのに、体まで欲しいの?
心なんて、とうの昔に閉じこめている
俺は、土方さんを求めることはしない
土方さんだって、俺を諦めているだろう
なのに… その心まで欲しいなんて
将軍ってのは
何でも手に入ると思っているから困る〟









まだ明るい昼過ぎ


布団の中で目を閉じた






昨夜、沖田に会いに行き
帰ってからしばらく寝つけず
睡眠不足になっていた





そのせいか、ウトウト





















夕餉に起こされるまで



ぐっすり眠った

















 




< 209 / 283 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop