浅葱色の魁
ぶんぶんと顔を振り


「帰る!」


勢い良く立ち上がると


「え?平助君、帰っちゃうの?
ねえ!平助君もここに住みなよ!」


沖田が仔猫のような目で平助を見る


「ああ!そうだよなぁ!!
今も間借りしてんだろ!?」



さて…どうかわそう…




「そうだけど… 俺は…
試衛館に入門してないからな…」


「は?入門したも同然だろう?」



斎藤が食い付き気味に問う




ニカッと笑うと



「ごめん!ちょっと訳ありなんだ!」



嘘はつけない、つきたくない
でも、藤堂家を守る為
隠し事は、許して欲しい

そんな気持ちを込めて笑顔で答える



「はっはっはっ!良いとこの坊ちゃんって
雰囲気あるもんな!!わかる!!」

永倉が、助け船を出してくれた


「育ちの良さって、やっぱり隠せないから
ごめん!ごめん!」


「けっ!平助が良いとこの坊ちゃんなら
俺は、高貴な生まれだな!!」


原田がそれに乗り


「僕も!!僕も!!」


沖田が混ざる

「総司には、負けない!
俺の方が良いとこだぞ!」


「平助君!!僕の方が良いよ!!」


「なんの張り合いだよ…」




この頃

試衛館の仲間と下の名前で呼び合うように
なっていた







< 21 / 283 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop