浅葱色の魁
夜
慶喜の部屋へ
用意された布団で胡坐を掻く慶喜のそばに
ちょこんと座る
バクバクと音を立てる心臓
恋の胸の高鳴りではない
恐怖に似た音
「初めてじゃないんだけど…
襲われたことがあって…苦手なんだ
だから、乱暴にしないでくれる?」
慶喜と視線を合わせ、懇願する
「ぷっ あはははははっ!!!!!」
豪快に笑われ、キョトンとする
笑われたせいか、恐怖心が和らぐ
一頻り笑った慶喜が、語り始めた
「家定様の子が生きていると知ったとき
俺は、この上なく嬉しかった
強い味方が出来たと
子が、女だと聞いたときは
俺が守ってやろうと思ったものだ
クククッ 会ってみたら、男だか女だか
さっぱりわからぬ上、ぎゃあぎゃあと煩い
嫌味を言うし、俺をちっとも敬わない
だが……
不思議なものだ
其方は、放っておけない
どんなに強いと知っても
儚い花のように見えるのだ
生き生きと美しく咲いているかと思えば
翌朝、枯れそうになっていたり
水をやれば、また美しく咲き
俺を魅了した
今日は、狼に摘み取られてしまいそうな
そんな気がした
だから…俺が、摘みたいと思った」
〝摘んだと見せかけ
大事にするつもりだったが…
やはり、この花を俺のものにしたい
たとえ…… 心まで手に入らなくても
触れたい…〟
「/////お前、よくそんなこと言えるな!」
〝予想外に照れて、顔を赤らめる姿が
俺を熱くする〟
「優しくする…だから、煽るな」
慶喜の部屋へ
用意された布団で胡坐を掻く慶喜のそばに
ちょこんと座る
バクバクと音を立てる心臓
恋の胸の高鳴りではない
恐怖に似た音
「初めてじゃないんだけど…
襲われたことがあって…苦手なんだ
だから、乱暴にしないでくれる?」
慶喜と視線を合わせ、懇願する
「ぷっ あはははははっ!!!!!」
豪快に笑われ、キョトンとする
笑われたせいか、恐怖心が和らぐ
一頻り笑った慶喜が、語り始めた
「家定様の子が生きていると知ったとき
俺は、この上なく嬉しかった
強い味方が出来たと
子が、女だと聞いたときは
俺が守ってやろうと思ったものだ
クククッ 会ってみたら、男だか女だか
さっぱりわからぬ上、ぎゃあぎゃあと煩い
嫌味を言うし、俺をちっとも敬わない
だが……
不思議なものだ
其方は、放っておけない
どんなに強いと知っても
儚い花のように見えるのだ
生き生きと美しく咲いているかと思えば
翌朝、枯れそうになっていたり
水をやれば、また美しく咲き
俺を魅了した
今日は、狼に摘み取られてしまいそうな
そんな気がした
だから…俺が、摘みたいと思った」
〝摘んだと見せかけ
大事にするつもりだったが…
やはり、この花を俺のものにしたい
たとえ…… 心まで手に入らなくても
触れたい…〟
「/////お前、よくそんなこと言えるな!」
〝予想外に照れて、顔を赤らめる姿が
俺を熱くする〟
「優しくする…だから、煽るな」