浅葱色の魁
慶喜が少し触れるだけで

ビクッ



体を跳ねさせる



細心の注意を払い、優しく平助を抱いた




「可笑しなものだ…
敵や刃物には、臆することなく向かうのに
想像を絶する怖がりようだったな」


「だから…怖いって言っただろ!!!」






ふて腐れ、慶喜に背を向ける






「狼にも… 抱かれたのか?」






慶喜の言う狼が土方の事だということ
それにどう答えるか

悩んでいるうちに
ゴロンと向かい合わせにされる




「あの人が抱いたのは、のぶで俺じゃない」

「抱かれたということか」



慶喜は平助を抱きしめた



「彼奴が羨ましい
其方の心を手にしている
俺に、誠と呼ばせている理由は、それだろ」



「さあ……」








誤魔化してみたところで、慶喜にはわかっているだろうと感じながら


目を閉じた





〝藤堂平助でいたかった…
どんなかたちでも、土方さんのそばに
ただ、それだけで良かったのに…〟








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