浅葱色の魁
〝慶喜には、いつでも脱けられるなんて
言ってみたけれど…
藤堂平助でいられないのなら
どこにいても、同じ…〟



「誠様には、天子様に嫁いで頂きたい!」


散歩を諦め



慶喜 春嶽 康正 板倉 平助が
集まっている時に、板倉が切り出した



「大政奉還… どうも話が進んでいると
聞き及んでおります」



「それと、誠に何の関係がある?」



「徳川が生き残る為!」



「徳川には、和宮様がおられる」


「ですから、こちらからも誠様を!」



「誠は、俺の妻にする!!」



「慶喜様には、すでに御正室がおありです
誠様を側室に留めるのには惜しい
天子様の御正室になり、徳川の為に
働いて頂きたい!そして、徳川と天子様の
御子を産んで頂きたいのです!!!」



「なぜ!?今日になり、そのような!!!
慶喜様と誠様が昨夜…」



「あのさ……」




平助が立ち上がる




「そういう事は、そっちで適当に決めて」




「誠!」




部屋を出て廊下を早足で歩いていると




慶喜が追いつく 




「俺は、絶対に認めん!!!
其方は、何も心配するな!!!」



くるりと慶喜の方へ振り返る




「何それ? …同情!?
……馬鹿じゃねぇーの?」






〝板倉の言うことは、なきにしもあらず
天子様が徳川をどう思っているのか…
徳川が倒れたら、新選組はどうなる!?〟












人払いをして自室に籠もる







〝嫌だ…〟








頭では、ちゃんと理解しつつ
やはり…好きでもない男と交わることが
嫌でたまらない


どんなに覚悟を決めていようとも



何も無かったかのように振る舞っても





〝消えたい…〟







「もったいない もったいない」







泣きながら何度も繰り返した

















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