浅葱色の魁
大胆に襟元を開き

昨夜、慶喜がつけた口づけの跡を見せる


「お手つきでは、失礼かと!」


「//////わざわざ見せるでない!!!
其方は、女子であろう!!!」


「ええ 狼の… 躾がなっておりません
噛みついてお命を頂くやもしれません
諦めて頂けました?」


「いや……余計に、気に入った!!!」


「は?頭可笑しいのか?
それとも目が腐ってんのか?あ?
耳が詰まってんのか?」


「こら!!なんて口を聞く!!!」


「躾されてないから、仕方ねぇだろ!?
俺は、男として生きてきた
今更…女扱いされて困ってんだ!
ここより、窮屈そうなとこに行って
嘘突き通せるほど、強くないんで!
それに……
徳川がどうなろうと、正直どうでもいい」



全員が、あんぐりと口を開けた






「なるほど……
鎖でぐるぐる巻きにして、連れ去るか
脅さない限り…
こちらには来そうにないな」


「御理解頂けて、良かった!
失礼をお許し下さい」



「こちらこそ
試し打ちをしてすまなかった」






見送り不要と帰って行った天子


話し合いは、すっかり中断され


平助が広間に戻らないで歩き始める





「誠!」



慶喜が呼ぶ



「お前の為とかじゃねえから!
調子乗るなよ!!」






広間を後にし
自室へ向かう途中の平助の姿を


警備中の永倉が見る





〝平助?〟






見覚えのある平助の表情と様子に
永倉が、ハッとする










呼び止めようと顔を上げた時には
すでに平助がいなかった












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