浅葱色の魁
部屋にひとり


〝言い過ぎたかな…〟


平助が反省していた







午後の話し合いに参加するため
気を取り直そうと散歩へ



「おい!」


「新八?どうしたの?」



物影から呼ばれ、首を傾げながら
永倉に近づく



「逃げろ!ここから逃げれるだろ!?」



キョトンとしたまま、永倉を見る



「嫌なんだろ!?我慢なんかすんな!!」



「……クスッ 母親って人に会ったんだ
どんな理由か知らないけど、俺を捨てた人
ちょっと、酷いこと言っちゃって…
俺って、駄目だなぁ~って落ちこんでた
でも、あの人に啖呵切ったし
ここから逃げるワケにはいかない
大丈夫!!俺なりに楽しんでるから!!」



「楽しんで…って、そんなふうに見えねえから言ってんだよ!!!」



「馬鹿!!大声出すなって!見つかるぞ!
兎に角!大丈夫だからっ!!!
またな!!」




「待てって!!」







午後







話し合いに現れた近藤と土方を
チラリと見る



〝心配してるって顔…
俺って、そんなに危なっかしいかな〟




視線をそらすと康正と目が合う



「あ!お前なぁ!!」

「コホンッ そろそろ言葉使いをきちんと」

「何が、コホンだ!! ふんっ」





ムッとして、座ると慶喜が耳打ちする




「親子喧嘩したらしいな?」



ギロリと睨む



「喧嘩にすらならねぇよ」




〝喧嘩したかったわけではないけど
抱きしめて貰いたかったわけでもない
あの人に育てられなくても
藤堂家で、大事にして貰った
それも、産んでくれたからだと
そこは、感謝してる
兄達との日々が、新選組で生きていく術を学ばせてくれたし、新選組で皆に出会えて
生きることを学んだ
死ぬことは、もったいない〟






その日の話し合いは、大政奉還後の
新選組の事になった





「誠が世話になったこともある
其方らの腕も信頼しておる
名を改め、存続して貰う」



「ありがとうございます」



近藤が頭を下げる










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