浅葱色の魁
翌日




日課の城内散歩を終える頃


バッタリ、庭の警備中の土方と出会す


廊下の一段高い所にいて
土方と目線が同じになる


平助がクスッと笑う



「何を話しておる」



慶喜が現れ、土方が頭を下げる



「慶喜の悪口」


「なっ!!」


慌てる土方に、またクスッと笑う



「まだ挨拶もしてなかったとこ」


「笑っていたではないか」


「ほら、背が同じくらいだなって
見上げることが多かったから、新鮮で…
ヘンなのって、思っただけ」


「話しをすることは、かまわぬ
だが、密談は嫌だ」


「密談… 大袈裟な奴だな…
たまたま出会しただけだって」


「どこかに行こうと思っているのかと」


「あのなぁ… どこかに行くにしても
新選組の手を借りなくたって
余裕で脱けられるから!」


「やはり… 警備を強化するべきか」


「しなくていいよ!
どこかに行く時は、行くって言ってくから」


「言われてからじゃ間に合わない」


「馬鹿なの?強化したところで
時間さえあれば、抜け道見つけるし
無駄なことすんなって」


「土方 新選組でもこうだったのか?」


「はい 勝手なことばかりして
危険な事には、真っ先に飛び込んでました」


「今更治るものではない…か
ところで、明日朝に江戸へ向かうそうだ
もう一度会っておかなくてもいいのか?」


「……いい」


「康正が言っておったぞ?
意地っぱりは、母親に似たのだと
ともに暮らさなくても、やはり親子だ
もう、会えなくなるかもしれぬぞ?」


「……」


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