浅葱色の魁
「行ってこい」
「話すことがない……」
「昨日の事、気に病んでおるのだろう?
言い過ぎたと思っているなら
素直に謝ればよい」
「ヤダ!」
「土方…お前からも言ってやれ
娘に邪険にされたまま江戸へ帰る
母親を思うと不憫でならぬ」
「俺の父は……俺が生まれる前に
母は、6歳の時に亡くなりました
親孝行な事は、何ひとつ出来ないまま
もう、会うことすら叶わない
生きて、会えるのならば
しっかりと成長した顔を見せてやりたい
親の顔もしっかり目に焼きつけたい
言葉は、いらないと思います」
土方の言葉に、平助が着物をぎゅっと握る
「見せてくる…」
「ああ よく見せるといい」
バタバタと走って行く平助に
フッと笑い
「さすがだな?」
土方を見る
「何考えているか、全く言わない奴でした
慶喜様には、素直でいるようで
正直、妬けます」
「それは、こちらの台詞だ
土方には、心からの笑みを見せるくせに
俺には、ビクビク怯えている
こっちこそ、妬いているんだ」
「怯えている?」
「別に暴力を振るってなどおらぬぞ
ただ、2人になると想像絶する怯えよう
狼が仔猫に、まるで別人のようだ」
〝永倉の推測が当たっているのかも…
だとしたら… あの山小屋?
確かにあの時… 震えていた…〟
「まさか?お前じゃないだろうな?」
「え?」
「誠に乱暴をした相手のことだ」
「っ!!!滅相もない!!!」
「だろうな…」
からかわれたと知り、後ろ頭を掻き、笑う
「こんな気持ちは、初めてなんだ…
誠の想い人が土方だとわかっていても
手放すことが惜しくてたまらぬ
其方の所に帰りたいと言うまでは
手放す気は無い…」
土方に宣戦布告して、くるりと背を向け
去っていく
〝慶喜様となら、幸せになれるのかも〟
「話すことがない……」
「昨日の事、気に病んでおるのだろう?
言い過ぎたと思っているなら
素直に謝ればよい」
「ヤダ!」
「土方…お前からも言ってやれ
娘に邪険にされたまま江戸へ帰る
母親を思うと不憫でならぬ」
「俺の父は……俺が生まれる前に
母は、6歳の時に亡くなりました
親孝行な事は、何ひとつ出来ないまま
もう、会うことすら叶わない
生きて、会えるのならば
しっかりと成長した顔を見せてやりたい
親の顔もしっかり目に焼きつけたい
言葉は、いらないと思います」
土方の言葉に、平助が着物をぎゅっと握る
「見せてくる…」
「ああ よく見せるといい」
バタバタと走って行く平助に
フッと笑い
「さすがだな?」
土方を見る
「何考えているか、全く言わない奴でした
慶喜様には、素直でいるようで
正直、妬けます」
「それは、こちらの台詞だ
土方には、心からの笑みを見せるくせに
俺には、ビクビク怯えている
こっちこそ、妬いているんだ」
「怯えている?」
「別に暴力を振るってなどおらぬぞ
ただ、2人になると想像絶する怯えよう
狼が仔猫に、まるで別人のようだ」
〝永倉の推測が当たっているのかも…
だとしたら… あの山小屋?
確かにあの時… 震えていた…〟
「まさか?お前じゃないだろうな?」
「え?」
「誠に乱暴をした相手のことだ」
「っ!!!滅相もない!!!」
「だろうな…」
からかわれたと知り、後ろ頭を掻き、笑う
「こんな気持ちは、初めてなんだ…
誠の想い人が土方だとわかっていても
手放すことが惜しくてたまらぬ
其方の所に帰りたいと言うまでは
手放す気は無い…」
土方に宣戦布告して、くるりと背を向け
去っていく
〝慶喜様となら、幸せになれるのかも〟