浅葱色の魁
鏡に自分を映す


〝本当に…別人みたい〟



一つ、息を吐き




世話人のいない間に、着物へ
クナイを隠し持つ






しばらくして



「姫様 お持ち致しました」


「ありがとう!」


「姫様…これをどうなさるのです?」


「どうって、飾ると思う?」


「着て、どこかへ?」


「それしかないだろ」


「お言葉!」


「あ、はい 近いうちに必要になります
何事も支度をしておかないと
落ち着かないんです」


「姫様、黙っていなくなったりしないで下さいよ? お出掛けするならきちんと許可をお取り下さい!いいですか?」


「はい」




〝死に装束にするなんて
言えねえな…
この人、騒ぎ立てそう…〟




「なんです?」


「ふふっ ちょっと」


「ちょっと、なんです!?」


「黙って出掛けたら、どんな反応かなって」


「姫様!!!なりません!!!
それだけは、本当にダメ!!!」


「あはははははっ!!!」



「姫様!!!嫌ですよ!!!」






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