浅葱色の魁
急ぎ、沖田の療養している近藤の妾宅へ


「陽乃!はぁっ はぁっ」



肩を上下させ、土方が陽乃を呼ぶ



「どうされたのですか!?」


「ゲホッ 土方さん!?」



「陽乃!平助からなんか貰っただろ!?
これくらいの大きさ!」



「はい」



懐から取り出す


「それ、なんだ!?」


「……その前に、何があったのか
お話しして下さいませ」



土方は、朝からの平助とのやり取りを
全て話した




「平助様らしい
皆は、女相手に手荒なことが出来ない
だから…自分が、盾に……」




取り乱さず、冷静な陽乃を
土方と沖田が見る




「平助様は…
自分が女だということを嫌ってました
もう少し、もう少しって
綱渡りのように生きておりました
平助様の生きがいは、土方さんです
平助様が、命を懸け
死んでもいいと考えたなら
土方さんのそばに居れなくなったことと
藤堂平助でいられなくなったから
生きている目的を失ったからです」




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