浅葱色の魁
巾着から、板を出す




「ただ、もし…
天子様にお願いしたいことがこれなら…
平助様は、生きようとしていたと思います」




家紋を見せ、陽乃が板を裏返す



「藤堂蔦の裏、この傷……
平助様の御兄弟の名が書かれておりました
万が一徳川に身元が知れたとき
藤堂家にご迷惑がかからないよう
平助様が消して、高杉さんにあげたんです
どうしてか、私に下さいました
平助様は、御兄弟に会いたかったのでは?
もう一度、藤堂平助に
ほんの少しだけでも戻りたかったのかも」




頬を流れる涙を拭う

沖田が布団から抜け出し
文机に紙を出す




「土方さん!文を書いて下さい!
陽乃は、名前知ってるんだよね!?
教えて!!」



「おう!京に呼ぼう!!!」



「文は、必要ありません
今から会いに行きます!
山崎さんにお手伝いをお願いしても?」


「……京に、いるのか!?」


「はい 天子様のところに」


「それって…」

「藤堂高潔殿か!?」


「はい」




土方と沖田が、顔を見合わせた

平助にも、高潔にも

そんな素振りが全く無かったからだ















< 242 / 283 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop