浅葱色の魁
〝慶喜が俺に、口づけをした
そして、その唇が『すまない』と動いた
それから、着物を着替えさせられた
鏡の前に座らせられ
今、自分がどういう表情なのか
どんな姿なのか
やっと理解出来てきた
用意して貰っていた男物の着物に身を包み
髪を高く1つに結われている
藤堂平助に戻れたらしい
俺の世話人が『どうか、お元気で』
陽乃に口を読む術を教えて貰っていて良かった…
でも、俺からは何も伝えられない
どうやら、城を出されるらしいけど
どこに行くんだろ…〟