浅葱色の魁
毎日、隣の部屋から聞こえる沖田の咳

見飽きた天井から、目をそらしたくても
体は、全くいうことをきかない


水を飲んだ感覚も何もない



ふわふわと体が軽くなり

目の前が真っ白になる





〝今度こそ、死ぬのかな…〟





諦めにも似た、悲しさで目を閉じ
泣きたくなる気持ちを噛み締め、堪える





目を開け、大きく見開く


〝はぁ!?〟



平助の視界は、どこかの屋根上から
町を見下ろしていた



〝あ…あれは…〟



御陵衛士の残党
阿部 佐原 内海 を見つけた




近づくことができない為
懸命に口を読む




〝…総司を襲撃する!?
療養先もバレてる!!!
え…近藤さんも!?……させない!!!
土方さんの大切な人達を傷つけさせない!
守らなきゃ!!!うわっ!!!〟





再び平助の視界が真っ白になる







「平助様!!お願いです!!
お水を召し上がって下さい!!」






陽乃の声と共に、目の前に見慣れた天井

全く水を飲まない平助の顎を抑え
今にも泣きそうな表情



コクッ



水を飲めば



「あぁー良かった…」



今度は、嬉しそうに涙ぐむ





〝動け!俺の体!!
総司と近藤さんを助けなきゃ!!
動けぇーーーーー!!!〟






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