浅葱色の魁
ピクリ





平助の左手が動く






〝頼む!!動け!!伝えなきゃ!!
陽乃!気づいて!!お願い!!
動け!動け!動け!!!〟







ピクリ








陽乃の視線が平助の左手に向けられた






〝やった!動いているんだ!!
陽乃!!総司を守ってくれよ!!〟





平助の左手が、退散を示した形をしていた
それは、陽乃自身が平助に教えたこと


守るべき対象に危険がある場合


今すぐ、ここを退散しろという指示





少しその手を見つめていたが


キリリと目に力が宿る



「沖田さんをここから連れ出せ
との指示ですね!承知致しました!
必ず!お守り致します!
平助様… 土方さんに知らせて
援軍を寄越します!どうか…ご無事で…」




ピクリ




平助の左手が急げと手振りする




「はい!」





立ち上がり隣の部屋へ





「沖田さん!きついでしょうけど
屯所に行きますよ!さっ!早く!」




〝良かった… 陽乃に伝わった〟





「どうしたの!? ケホッ
屯所に行くって… 平助君は?
置いていくの? ねえ? ケホッ」




「平助様は、すでに屯所に移っております
平助様に籠を使って貰ったので
私たちは、歩きになります!
さぁ!早く!皆が待ってますよ!」







陽乃に惚れ気のある沖田は、疑うことなく
支度をして、妾宅を出た
















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