浅葱色の魁
少しづつ、体を取り戻し
ようやく上半身を起こすことが出来た


失った体力を痛感しつつも
休まずに体を操る


動きながら寝間着を脱ぎ捨て
久しぶりにサラシを巻き
息苦しさを覚える


男装し、髪を高くひとつに結い上げる



〝来る!〟



平助は、急ぎ近藤の妾を探した



「え!?藤堂さん!!!」


声は、出せなかった


驚く妾の手をひき、2人で押し入れに
隠れる


気配を消すため、妾を落ち着かせる



「大丈夫です これでも近藤の女ですから」



強がりなのは、わかる
だから、平助は背中に手を回す



ガタンッ




侵入者の物音に驚き、妾が平助の着物にしがみつく




「チッ!逃げられたか!!!行くぞ!」




侵入者が去り



2人が押し入れから、抜け出る




「藤堂さん…」



草履を履き、外に行こうとする平助の着物を掴む


「追っては、なりません!
あなたは、女子です!それに…
丸腰ではありませんか!!!」



平助は、その手をのけ、立ち上がると
背伸びをした


振り返り、にこりと笑う



〝大丈夫〟



そういう自信に満ちた表情


止めても行くのだ、平助が魁先生という
あだ名を持っていることを知っていた



「少し、お待ち下さい」



妾は、いそいそと奥の部屋から
短刀を持ってきた



「旦那様から、護身用にといただいた品
ですが、私には扱いがわからぬもの
どうぞ!お持ち下さいませ」



平助は、それを受け取り腰にさす



心遣いに礼を言えない為
深々と頭を下げ
顔を上げ、キリリと目に力が宿る




「ご武運を」






長らく人形のように寝たきりだったとは
思えない身のこなしで、ひらりと塀を乗り越え行ってしまった





「知らせないと!!!」







屯所へ向かうため、家を後にした

















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