浅葱色の魁
〝なんで? 土方さんのせい?〟





懸命に目を開ける



 


「はよ」




〝おはよう… 〟



目の前には、いつもと変わらぬ笑顔の土方



〝言ったよな?俺のせいで…ごめんとか
気のせいか?しっかり聞こえたんだけど〟




世話人が来て、土方は稽古へ





着替えを終え、髪を結われる




〝あれ…なんか… 気持ち悪い…〟




化粧をしようと世話人が正面に座る




「平助様…お顔の色が優れませんね
朝餉をしっかりお召しになり
少し、陽に当たりましょうね!」




言いながら、ちゃっちやと手を動かす






「はい!とってもお綺麗です!」





満足気に笑う世話人が
道具を片付けようとすると
襖が開けられた




「何用です!?ここは、副長の部屋です!
断りもなく入るとは、許されませんよ!」


平隊士、数名が稽古を抜け出して
世話人へ刀を向けていた



「騒ぐな」



世話人と平助は、縄を掛けられた




「へぇー、藤堂さんに似てるな…」



「んーんーんー!!!!!」



平助の顔をジロジロ見る男たちに
辞めるように訴えるが、轡をはめられた
世話人の声は、届かない




担がれた平助が、世話人へ顔を向けた


〝だ い じょ う ぶ〟



大きく口を動かした






それでも、平助の為にジタバタもがき
姿を見送りつつ、涙を流す








< 272 / 283 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop