浅葱色の魁
京に到着したものの

警護に参加した浪士組は、分裂した

浪士の取りまとめをしていた者が裏切り
江戸に戻り新しい組織を作るからと
浪士達に声を掛けたからだ



「俺達は、ここに残ろう!」



24名が残ることになった



組織としての活動を認めて貰う為
全員の名を記した書状を提出した



〝やばいなぁ…
藤堂を名乗るんじゃなかったかなぁ〟



不安が的中した




「見覚えのある顔だなぁ~
藤堂 どこの生まれだ?」


「さぁ?赤子の時に藤堂家から落胤され
引き取られたと聞いておりますが
どこの藤堂家かは…」



白々しく落ち着いて答える




京都守護職 松平容保の所に
わざわざ、徳川の家臣が確認にきた

しかも


〝この声の大きさ…
あの時の男だ… 追って来て…
藤堂家の家臣を斬った男…〟



「兄弟のことが気にならぬか?」



「兄弟がいるとは、聞いておりません」



「藤堂平助 剣の腕が良いとか?
俺の所に来ないか?」



「お断り致します」



「……錬……錬五郎だったか?」



それは、弟の名だった



「伊予の松平へ養子に行った
彼奴も元は藤堂ではなかったか?」


「そうでしたね
この者と何か縁がおありで?」

容保の家臣が問う




ジロリと睨まれた目をそらすことなく
合わせたまま


「勘違いだろう…弟の名を聞いても
どうということはないらしい」


「兄弟は、いませんから」




どうにか騙すことが出来た


この男とは、関わってはいけない


体中がピリピリと感じていた














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