浅葱色の魁
屯所にしている八木邸に戻り
阿比類の病状を説明した



「あいつ、江戸に両親がいるんだ
連れて帰っていいかな?」


「そうだね
平助… 頼めるかい?」


「はい!」



「で!?今、どこにいるって?」



濁して説明したが、土方が突いてきた



「俺の知り合いの家だってば」


「だから!誰の家だと聞いてんだよ!」


「……」


「平助君、土方君は心配しているんだよ」


「言えねえのかよ!?」


「十条鳥羽通りにある浅野家
昔、世話になったとこ
たまたま近くだったから、そこに運んだ」


「行くぞ」


「結局、行くのかよ!!!」


「見舞いだ!お前が渋るから、悪い!!
気になって仕方ねぇ!!」




土方と浅野家へ




「陽乃…どうしてもお見舞いしたいって」


「ようこそ 浅野陽乃と申します
平助様とは、婚約しております」


「なるほど… 
お前もそんな歳だったんだな」


「はぁーそういうこと言うから
嫌だったんだよ…」


「隠すから、怪しくなるんだよ!」


「茶化すだろ!!」





いざという時の為に、段取りしていたことが、思いの外使うことになり

陽乃と苦笑い






「よう!阿比類!辛そうだな?」


「すみません」


「江戸に戻れ
平助に付き添わせる」


「ごめんな… 平助…」


「気にすんな
じゃあ、このまま残るよ」


「出立の日取りが決まったら知らせてくれ」


「わかった」


「平助!可愛い許嫁なんだ、隠さずに
皆に紹介すりゃあいいのによ」


「うるさいなぁ!」




土方を見送る為、陽乃が退出した



玄関先で陽乃が言った


「あまり、私の話題を出さないで下さい
京に来るのも嫌がってましたでしょ?」


「上手くいってねぇのか?」


「私の片想いなんです
平助様は、天涯孤独の身の上を気にされ
縁談を断っております
とはいえ、こうして頼って頂き
嬉しく思います」


「そうか まあ、近くにいれば
気も変わるだろうよ 
平助って、あまり人に助けを借りる奴じゃねぇから、お前は平助の特別なんだろう
よろしくな!」


「はい」




土方へ深く頭を下げた









〝どうにか、騙せた…
問題は、阿比類鋭三郎…
土方歳三の前では、女という話題に触れなかった
しかし、平助様を窮地に追いやるのなら
それなりの手を…
いや… 何もしなくても… 消える〟















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