浅葱色の魁
隠れ家で、女として生きる教育を受けた


14年、男として生きてきた
平助の性に合わず



「無理… こんなの続けられねぇ…」



女の生活は、ふた月で諦めた





再び、男装し
北辰一刀流の道場に通うようになった




〝あの薬屋みたいに強くなりたい〟




すぐに頭角を現し、目録を取得





「若いのに、凄いね」


「あ…えと、山南さんでしたっけ?」


「クスクスッ ええ、山南です」


「ありがとうございます!
まだまだです!もっと強くなりたい!」


「負けてられませんね」





北辰一刀流の千葉道場の他に
伊東道場にも
出入りをするようになった頃




初潮があり

体つきも女らしくなりはじめた





なるべく人を避け、ひとりで素振りをする





「やぁ 平助君
稽古の後、予定がないなら
僕の出入りしている道場に行かないか?」



久しぶりに声を掛けてきた山南が
なぜ、自分を誘うのか
首を傾げながらも、興味を持ったのは
山南が発した、次の言葉




「強いのがいるんだ」




行く という言葉を喉で止め



「すみません!家の用事があります!」




目立っては、いけない



目録を取得した時



〝藤堂〟を名乗り、怒られた




どこの藤堂家かと、散々聞かれた




素性を話せない






それだけで、まわりから一線を引く
加えて、女だということで、壁を作る







これが、当たり前になっていた








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