浅葱色の魁

二

会津藩が新たに見廻組を作ることになり


｢藤堂平助をいただけないかな？｣




松平康正が人選をする中で
平助の評判を聞きつけたということだった




｢お断り致します｣



｢藤堂君と２人で話をしたいのだが｣


｢では、席を外します｣


｢いえ、私らが外に行こう
いいかな？藤堂君｣


｢はい｣




康正と壬生寺まで行く







｢どうして俺なんですか？｣


｢腕が良いと評判だからね｣


｢腕利きなら、他にもいる｣


｢察しはついているんだろう
……松平春嶽から、君の事を聞き
どんな人物か見に来たんだ｣


｢引き抜けと言われましたか｣


｢うむ　是が非でもとは言われていない
だから、気にしなくていい
君は、春嶽の名を聞いて
あからさまに嫌な顔をしたね？｣



｢以前、お会いしたときに
人違いをされ、威圧的な言葉を掛けられ
あまり好まない方だったので｣


｢そういうことにしておくよ……
君は、御父上に生き写しだ｣


｢……｣


｢一度しかお会いしていないが
とても良い方だった
生涯尽くしてもいいと思える方だったよ
徳川の世が終わればいいのに
そんなことを平気で言う方でね
もしかしたら、そういったところも
御父上に似ているのかな？｣


｢……｣



｢春嶽の事、誤解しないでくれ
君の幸せを願っているだけだ
まぁ、異常なまでに執着しているがね
忍が２人帰って来なくなったと笑っていた
自分より、君に忠義立てしているのだから
春嶽の見立て通り
君は、将軍の器なのだろうね｣



｢俺は、忍なんて知らない
春嶽様の元に忍が戻らないのは
仕事が終えていないからでは？｣



｢ふっ　御父上と話をしているようで
懐かしい気持ちになった
春嶽には、上手いこと説明しておくよ
気が変わったら、見廻組にくるといい｣



｢行きません！｣



｢なら、私が話をしに来てもいいかな？｣



｢いいけど｣




｢ありがとう
１つ、助言させて欲しい
人が近づくのに、理由が無いときもある
ただ、君と話がしたい
私のようにね
御父上は、人の意図を読むことに優れていた…苦しんでいたよ
君も…そうなのだとしたら
誰かに相談するといい｣