浅葱色の魁
康正と朝比奈は、再び旅籠へ




「御立派になられたな……姫様」


「ふっ 姫様とは、似つかわしくないがな」


「そんなことないですよ!
身繕いすればお美しいでしょうし
何より! お心が美しい!!!
だから… 」



朝比奈が再び涙ぐむ



「わかるよ 心配なのだろう
家定様に似て、ご自身の事は
あまり大事になさらぬ
命を狙われていると言ったのに
考えておられたのは、きっと…」


「はい 彼らの事でしょう
それは、そうと
春嶽にも性別を言っておらぬのですね?」


「男であれば、徳川に戻すことはせぬと
その代わり、送りこんだ女に子を妊ませたいそうだ
ならば…男だと思って貰っていた方が
都合が良いだろう」


「そうですね
姫だと知れば…徳川に戻され
良縁に嫁がせられそうですもんね
良き仲間に恵まれたのなら…
俺の出る幕ではないですね」


「ああ 何かあるのかと
少し、心配したが
要らぬ心配であった」
















一方、平助は…








「陽乃!」



「平助様!!!」



「泊めて! あれ?どこか行くのか?」



「……
ふふっ 平助様
私、てっきり……
平助様が、どこかにお逃げになられたかと
追いかけて行くところでした!」



「ぷっ! 陽乃! 宛ては?」



「ございません!
でも、松平様と仕事と聞きましたから
その近辺を張り込めば良いかと!」



「なるほど!
まあ、何処にもいかねぇけど!」


「はい!平助様!
今宵の宴は、面白かったのですよ!」


「へえ、歌?踊り?」


「いいえ 平助様がいないと知って七桜は
留守番をすることに!
そして、島原では
皆さんお酒を飲みませんでした!」


「え?」


「いつでも応援に駆けつける支度をって!
さすがに、全く飲まないのは
店に悪いから、平隊士の方達を残して
私を送るついでとか何とか言い
巡察して帰ることになったのですよ!」


「……俺」



「平助様は、新選組に必要とされてます!
間者のあぶり出しとか、忘れるくらい!」




悩んでいた事が、陽乃にバレていた事や
色々な感情がごちゃ混ぜになった





「あはははっ!
俺は、新選組を離れられそうにねえな!」
















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