浅葱色の魁
「七桜になら… 殺されてもいいよ」


「!!! …クスッ クスクス
平助さんって、損な性格よね?
知らなければいいのに、そんなことに
気がついてしまうんだもの…
ずっとね… 女になりたかったの
でも、今は… 
ちゃんと武術を習えば良かったと思ってる
平助さんを守れるような…
強い男になりたいわ
恋って、不思議ね!ふふっ
ちょっと厠に行ってくるわね!」



しばらくして




「遅い…」




七桜を迎えに行くと立ち上がる平助に続き


「俺も行こう」


斎藤が立ち上がる



「大変です!!!お連れの方が!!!」




真っ青な店主の声で



〝まさか…〟



新選組が、店主についていくと



店の外で、春嶽と康正
そして、見廻組の蒔田
蒔田の刀には、血がついていて

その足元には、七桜が倒れていた




呆然と七桜を見詰める平助の後ろにいる
陽乃を見つけ


「おや?陽乃…久しぶりだなぁ」



近づく春嶽の前に立ちはだかる平助が
ギロリと睨む



「二度とその口で陽乃を呼ぶな…」




「おい!貴様!!誰にそのような口を…」


「よい!!!」




刀を収めた蒔田が、平助を睨む



「帰るぞ!」


「待てよ…」


落ち着いているが、声の低さから
怒りを感じ


「平助…落ち着け」


平助を宥めるが


スッ



平助が刀を抜いた



「二度と… 手を出させない…」



平助が刀を、平助自身の首に振り下ろす



「平助様!!駄目!!」



陽乃が右手に飛びつき

康正が居抜きした刀で止めたが


平助の首に巻いた布は、見る見るうちに
紅く染まった



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