ミエナイモノ

するとそこには、何事も無かったような表情のいつもの小太郎がいた。



目も元通りで可愛い顔だ。



「え…?」



震える手で小太郎に触れてみる。



嬉しかったのか、尻尾をふって近づいてきた。



「いつもの小太郎だ…」



私はほっと安堵の息を漏らした。



それと一緒に涙も出てきた。



今のは一体なんだったのだろう。



小太郎じゃないみたいで、夢なのかも、と錯覚した。



でも、周りのグチャグチャになった部屋と、頬に感じる痛みが「本当にあったんだ」と思わせた。

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