ミエナイモノ
わたしがクローゼットから見たものは、お母さんの目玉だった。




お母さんも、クローゼットの外から私のことを覗いて見ていたのだ。











「ミーツケタ…」



クローゼットの扉が勢いよく開けられる。



お母さんの顔が見えた。



にやり、と気味悪く笑っていた。



お母さんは包丁振り上げた。










「殺される」と私は思う。



気づくと、私はお母さんを突き飛ばしていた。



まだ、生きている。



走って、逃げようとした。



しかし、私はうずくまった。
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