ミエナイモノ
風の体からは血が大量に流れている。



それでもナイフを振り回す。



これは人間ではない、と確信した瞬間だった。










「あっ…!」



かなり足の傷が深かったらしい。



優人が崩れ落ちた。



まだ血は止まっていない。



大量の出血だからなのか、優人はフラフラしていた。



視点も定まっていない。



「優人、優人!!!」



私は涙と鼻水でグチャグチャの顔で呼び続けた。



“ヤツ”は、ナイフを振り上げた。



そして、ニヤリと笑った。



でも目は笑っていない。



その瞬間に全身に鳥肌が立つ。






< 62 / 105 >

この作品をシェア

pagetop