ミエナイモノ
「な、何…?」
恐る恐るドアを開けてみると、小太郎が走りこんできた。
普段は大人しい小太郎だから、走り回っている姿にびっくりした。
どうやら、ドアにあたったのは小太郎だったらしい。
なんだ、怖かった…。
「小太郎、怪我してない?そんなにはしゃいで、嬉しいことでもあったの?」
私は走り回る小太郎をだっこして、顔を近づける。
でも、次の瞬間あまりの恐怖に小太郎を手放してしまった。
「ひぃっ!」
彼の目は、赤く充血し、両方の目の焦点があっていなくて、左右別々の方を向いていたのだ。
小太郎は歯をむきだして私を威嚇してきた。
「…こた、ろ、う…?」
腰がぬけて立てなくなり、声も震えてしまう。