執着系上司の初恋
暖かい場所 前半
窓辺に観葉植物、白い壁に、暖かみのあるインテリア。目の前には、暖かいコーヒー。そして、雑誌が数冊。
アロマの香りに癒される至福の時間。
私を後ろから囲うように近距離で座る男は、ボロボロのジーンズにグレーの細身のカットソー、腰にはなにかジャラジャラと鎖を数本ぶら下げている。
「今日は、どうしたの?急に俺に会いたいなんてさ。」
私がこの男に会う理由なんて、一つしかない。
「しかも、。。。。本当にいいの?俺は今のままでもいいかなって思うんだけど。
でも、華ちゃんがいいって言うなら、俺はヤっちゃうけど。」
男は吐息が感じられる程近づき、耳の側の髪をひとすくい持ち上げ、愛しげに見つめる。
「後悔しない?途中で俺、止めらんないよ」
軽薄そうな顔を近づけ、こちらの顔を心配げに覗き込む。
「いやむしろ、最後までしてくれなきゃ困るんだけど。」
「たまんないっ!」悶える男。
「はーい、柊二さん。もういいですか?
そろそろ華さんキレちゃいますから、さっさとお仕事してくださいね。」
アシスタントの女の子、さすが慣れてるね。
「だってさ、俺が育てたこの美しい髪をバッサリ切るっていうんだよ!ちょっとぐらいお別れの儀式したっていいじゃん。」
客みんなにやってんのか、エロ美容師。
ここは、私が転職する前から通ってる美容室。(お騒がせしました)
このエロ美容師は、これが平常運転。だから、お客さんもスタッフも慣れっこ。でも、腕がいいから予約必須なんだけど、今日は思い立ったら吉日、とばかりに飛び込みで来てしまった。この長い髪も、元彼の趣味だった。別に未練なんてもう無いけど、綺麗にしてくれてたからなんとなくだ。だから、この際切ってしまおうと思ったんだ。
「女が髪を切る時か、、、どうしたの?失恋しちゃったの?お兄さんが優しく聞いてあげるよ。」
いや、だからいい加減切ってくれ。
「だから、心機一転仕事を頑張るためだって言ってるでしょ。」
「だから、なんで、髪切るのと仕事頑張るのがリンクするわけ?まあ、もういいや。お別れの儀式もしたし、俺がめっちゃ可愛くしてやるよ。」
いちいち、甘いのはやめられないの?
「じゃあ、ちょっとカラーリングして、毛先パーマ当てて、肩に髪の毛つくかつかないかぐらいのイメージで。」
キビキビ指示を出し始めたら、もう安心して任せるだけ。
長い髪にザクッとハサミが入る。
「お別れだね。」男は言う。
うんほんと、思い出とお別れだ。
2時間後、やっと私の変身は終わる。
「うーん、いいね。さすが俺。キリッと系大人カワイイスタイル完成!」
そんなヘアスタイルはきっとないぞ。
でも、鏡に映る私は、髪が短くなり、ちょっと首が心許ないけど、落ち着いたカラーが私のキツめの顔を和らげてる。毛先はあごのラインでカールし、かわいいポイントといえばここかな。
「ありがと。これで月曜から仕事頑張れる!」
「うん、うん、これでいい男捕まえろよ!」
微妙にいつも話は噛み合わない。
さて、髪型が決まればあとは服。
ずっと行っていなかったあの場所へ。
アロマの香りに癒される至福の時間。
私を後ろから囲うように近距離で座る男は、ボロボロのジーンズにグレーの細身のカットソー、腰にはなにかジャラジャラと鎖を数本ぶら下げている。
「今日は、どうしたの?急に俺に会いたいなんてさ。」
私がこの男に会う理由なんて、一つしかない。
「しかも、。。。。本当にいいの?俺は今のままでもいいかなって思うんだけど。
でも、華ちゃんがいいって言うなら、俺はヤっちゃうけど。」
男は吐息が感じられる程近づき、耳の側の髪をひとすくい持ち上げ、愛しげに見つめる。
「後悔しない?途中で俺、止めらんないよ」
軽薄そうな顔を近づけ、こちらの顔を心配げに覗き込む。
「いやむしろ、最後までしてくれなきゃ困るんだけど。」
「たまんないっ!」悶える男。
「はーい、柊二さん。もういいですか?
そろそろ華さんキレちゃいますから、さっさとお仕事してくださいね。」
アシスタントの女の子、さすが慣れてるね。
「だってさ、俺が育てたこの美しい髪をバッサリ切るっていうんだよ!ちょっとぐらいお別れの儀式したっていいじゃん。」
客みんなにやってんのか、エロ美容師。
ここは、私が転職する前から通ってる美容室。(お騒がせしました)
このエロ美容師は、これが平常運転。だから、お客さんもスタッフも慣れっこ。でも、腕がいいから予約必須なんだけど、今日は思い立ったら吉日、とばかりに飛び込みで来てしまった。この長い髪も、元彼の趣味だった。別に未練なんてもう無いけど、綺麗にしてくれてたからなんとなくだ。だから、この際切ってしまおうと思ったんだ。
「女が髪を切る時か、、、どうしたの?失恋しちゃったの?お兄さんが優しく聞いてあげるよ。」
いや、だからいい加減切ってくれ。
「だから、心機一転仕事を頑張るためだって言ってるでしょ。」
「だから、なんで、髪切るのと仕事頑張るのがリンクするわけ?まあ、もういいや。お別れの儀式もしたし、俺がめっちゃ可愛くしてやるよ。」
いちいち、甘いのはやめられないの?
「じゃあ、ちょっとカラーリングして、毛先パーマ当てて、肩に髪の毛つくかつかないかぐらいのイメージで。」
キビキビ指示を出し始めたら、もう安心して任せるだけ。
長い髪にザクッとハサミが入る。
「お別れだね。」男は言う。
うんほんと、思い出とお別れだ。
2時間後、やっと私の変身は終わる。
「うーん、いいね。さすが俺。キリッと系大人カワイイスタイル完成!」
そんなヘアスタイルはきっとないぞ。
でも、鏡に映る私は、髪が短くなり、ちょっと首が心許ないけど、落ち着いたカラーが私のキツめの顔を和らげてる。毛先はあごのラインでカールし、かわいいポイントといえばここかな。
「ありがと。これで月曜から仕事頑張れる!」
「うん、うん、これでいい男捕まえろよ!」
微妙にいつも話は噛み合わない。
さて、髪型が決まればあとは服。
ずっと行っていなかったあの場所へ。