執着系上司の初恋
君のとなり 前半
冴木課長 視点
時計を見ると、時刻は8時25分
会社の近くの駅から続く大通りに面したカフェに入り、朝飯を取る。
今日の業務のスケジュールを組み立て、余った時間にスマホで気になるニュースを閲覧していく。いつもと変わらない俺の日常。
しかし、今俺の頭の中は初めての感情にみっともなく振り回されている。
加藤に会いたいと思うのに、どんな顔して会えばいいか、なんてくだらない事を考える。別に、普段通りでいいと思うのに、塩加減が分からない。加藤に塩?いやいや違うだろう。
加藤に近づけない。。。
ああ、俺らしくない。
そう考えると、俺らしさとは?なんて、無限に続く自問自答を繰り返す。
こんなかっこつかない状態で、加藤に会いたくない気がする。
いや、待て、やっぱり会いたい、、よなあ。
頭が沸いてると冷静な自分は言っているが、36年の人生で初めての感情は制御不能。
もし、大学時代からの友人の拓や、誰かに相談を受けたら、間違いなくドン引きだ。そう、自分自身にも。なんて厄介なんだ。恋愛が楽しい?意味がわからない。
俺からすれば、失敗の出来ない、一回きりの勝負。
失敗すれば、どうにも取り返しがつかない。
何故なら相手は、俺が36年かけてやっと見つけた、たったひとりだから。代わりがいない。
避けられたら、逃げられたら、、
俺はみっともなく追いすがるんだろうか。
加藤の足元に縋り付く自分を想像する。
あの引き締まったふくらはぎに縋り付くのか、
もしくはあのアキレス腱の浮き出た足首か、、、
あのふくらはぎから足首のラインをゆっくり撫で上げたら、、、
思考を止める。
「くそっ!」左右のこめかみに両手を当て頭を抱えた。
沸いてる、俺は沸いてるんだよ。分かってるよ。
これは夜にまた考えよう。と思っていたら、
「冴木君!何してるの、こんなところで!」と、肩を掴まれ、一瞬ビクついた。
(朝から頭の中で加藤にセクハラ働いてましたっ!すいません!)
と心の中で謝罪した。
いや、心は自由のはずだ。俺はまだ無罪。とりあえず動揺をひた隠す。
振り返ると、川上人事部長だった。
いくらこの人でも、心の中までは分からないだろう。
「嬉しいな、今日は冴木君に朝一に会いたかったんだよ。ちょっと一緒に会社行かない?ほらほら急いで!」そう言われ、カフェから連れ出された。
いつもながらのマイペースさにゲンナリしたが、一つに可能性に血の気が引いた。
人事部長が自ら朝一会いたいって、もしかして人事異動の内示?
内示だったらどうする?
背中に嫌な汗を感じた。加藤に会いたくないなんて心にもない事を考えたからか?と焦っていると、
会社の入り口のロビーに俺を悩ませる忌々しい存在が。
華 視点
いつもより少し遅めに会社入口のロビーに入ると、
「え?加藤さん?なんなの、その格好は!」
朝一、キラキラ集団に捕まった。
目聡すぎるだろ。どこ見て歩いてるんだ。広がるな。前見て歩け!危ないぞ!と言いたくなる。
いつもなら、もうとっくに会社について、コーヒーでも入れようかなんて考えてる頃。
でも今日は、美魔女谷口さんとの約束を果たす日。
ちょっと遅めなのは、鋼鉄の仮面へとバージョンアップする為、後輩の選んだ服を着てくるのに手間取ったから。
今日は、後輩一押しの紺色レースのタイトスカート、カットが綺麗なとろみのあるシャツ。上からコートを羽織ってるから、そこまでキラキラ女子もチェックできないと思うけど。
「やっぱり、課長に色気で迫るつもりなんでしょ?課長もいい迷惑よ!」
キラキラ女子は私に色気を感じたのだろうか?それはどーも。
ここはロビーで、出勤時間。人通りもある。みんな何事かとこちらを伺いながら、エレベーターホールへ流れていく。この人達は気が付いてるのかな?
対象 キラキラ女子
ケンカ買いますか←
撤退しますか←
こんな画面が頭の中に浮かんだ。転職したての前の私ならば、迷わず撤退を選ぶだろう。でも、今は。。。
「課長の迷惑って、何ですか?課長は、係長がいなくなり、管理職が一人になって多忙です。
少ない人員の中、効率的に業務をするため、部下への的確な指示を出しつつ、決済に追われています。
私は、課長の代わりに出来る事は残念ながら今はありません。しかし、他のメンバーと一緒に、課長の手となり足となりサポートしようと思ったので、課長の隣にいて恥ずかしくない装いにしたまでです。
迷惑というなら、毎日用もないのにこちらへやって来るあなたでしょう?」
言い切った後に、ああ、これで後戻り出来なくなった、と思った。
時計を見ると、時刻は8時25分
会社の近くの駅から続く大通りに面したカフェに入り、朝飯を取る。
今日の業務のスケジュールを組み立て、余った時間にスマホで気になるニュースを閲覧していく。いつもと変わらない俺の日常。
しかし、今俺の頭の中は初めての感情にみっともなく振り回されている。
加藤に会いたいと思うのに、どんな顔して会えばいいか、なんてくだらない事を考える。別に、普段通りでいいと思うのに、塩加減が分からない。加藤に塩?いやいや違うだろう。
加藤に近づけない。。。
ああ、俺らしくない。
そう考えると、俺らしさとは?なんて、無限に続く自問自答を繰り返す。
こんなかっこつかない状態で、加藤に会いたくない気がする。
いや、待て、やっぱり会いたい、、よなあ。
頭が沸いてると冷静な自分は言っているが、36年の人生で初めての感情は制御不能。
もし、大学時代からの友人の拓や、誰かに相談を受けたら、間違いなくドン引きだ。そう、自分自身にも。なんて厄介なんだ。恋愛が楽しい?意味がわからない。
俺からすれば、失敗の出来ない、一回きりの勝負。
失敗すれば、どうにも取り返しがつかない。
何故なら相手は、俺が36年かけてやっと見つけた、たったひとりだから。代わりがいない。
避けられたら、逃げられたら、、
俺はみっともなく追いすがるんだろうか。
加藤の足元に縋り付く自分を想像する。
あの引き締まったふくらはぎに縋り付くのか、
もしくはあのアキレス腱の浮き出た足首か、、、
あのふくらはぎから足首のラインをゆっくり撫で上げたら、、、
思考を止める。
「くそっ!」左右のこめかみに両手を当て頭を抱えた。
沸いてる、俺は沸いてるんだよ。分かってるよ。
これは夜にまた考えよう。と思っていたら、
「冴木君!何してるの、こんなところで!」と、肩を掴まれ、一瞬ビクついた。
(朝から頭の中で加藤にセクハラ働いてましたっ!すいません!)
と心の中で謝罪した。
いや、心は自由のはずだ。俺はまだ無罪。とりあえず動揺をひた隠す。
振り返ると、川上人事部長だった。
いくらこの人でも、心の中までは分からないだろう。
「嬉しいな、今日は冴木君に朝一に会いたかったんだよ。ちょっと一緒に会社行かない?ほらほら急いで!」そう言われ、カフェから連れ出された。
いつもながらのマイペースさにゲンナリしたが、一つに可能性に血の気が引いた。
人事部長が自ら朝一会いたいって、もしかして人事異動の内示?
内示だったらどうする?
背中に嫌な汗を感じた。加藤に会いたくないなんて心にもない事を考えたからか?と焦っていると、
会社の入り口のロビーに俺を悩ませる忌々しい存在が。
華 視点
いつもより少し遅めに会社入口のロビーに入ると、
「え?加藤さん?なんなの、その格好は!」
朝一、キラキラ集団に捕まった。
目聡すぎるだろ。どこ見て歩いてるんだ。広がるな。前見て歩け!危ないぞ!と言いたくなる。
いつもなら、もうとっくに会社について、コーヒーでも入れようかなんて考えてる頃。
でも今日は、美魔女谷口さんとの約束を果たす日。
ちょっと遅めなのは、鋼鉄の仮面へとバージョンアップする為、後輩の選んだ服を着てくるのに手間取ったから。
今日は、後輩一押しの紺色レースのタイトスカート、カットが綺麗なとろみのあるシャツ。上からコートを羽織ってるから、そこまでキラキラ女子もチェックできないと思うけど。
「やっぱり、課長に色気で迫るつもりなんでしょ?課長もいい迷惑よ!」
キラキラ女子は私に色気を感じたのだろうか?それはどーも。
ここはロビーで、出勤時間。人通りもある。みんな何事かとこちらを伺いながら、エレベーターホールへ流れていく。この人達は気が付いてるのかな?
対象 キラキラ女子
ケンカ買いますか←
撤退しますか←
こんな画面が頭の中に浮かんだ。転職したての前の私ならば、迷わず撤退を選ぶだろう。でも、今は。。。
「課長の迷惑って、何ですか?課長は、係長がいなくなり、管理職が一人になって多忙です。
少ない人員の中、効率的に業務をするため、部下への的確な指示を出しつつ、決済に追われています。
私は、課長の代わりに出来る事は残念ながら今はありません。しかし、他のメンバーと一緒に、課長の手となり足となりサポートしようと思ったので、課長の隣にいて恥ずかしくない装いにしたまでです。
迷惑というなら、毎日用もないのにこちらへやって来るあなたでしょう?」
言い切った後に、ああ、これで後戻り出来なくなった、と思った。