執着系上司の初恋
戸惑い
忠犬宮本視点
「まじ気が重い。。。」
木枯らしが吹く外を見ながら一人呟く俺。
外の寒々しい景色は俺の心を車窓越しに写すよう。
一昨日、高熱で会社を休んだ課長にまたしても俺の案件で迷惑をかけてしまった。俺の契約案件で、原材料を卸してる業者が製造を辞める事になり他の仕入れ先を早急に探さなければならなかった。どこでも取り扱ってるものなら良かったが、利益の少ない原材料の製造業者は国内業者からは見つけることが出来なかった。困った俺は休んでる課長に指示を仰ぎ、海外担当の一課にも協力をしてもらって、タイの業者から輸入が出来そうだというところまで話がついた。
俺って使えない。。いつも周りに助けてもらってます。。。体調の悪い課長に無理させて自分自身にがっくりきてた俺に和田部長が追い打ちをかけた。
「宮本、お前冴木に頼りすぎ。明日、工場行って品質管理責任者の佐野に経緯説明して来い。
冴木、今日の朝無断欠勤だろ?電話でねえから、家で倒れてんじゃねえか?」
2課にやって来た和田部長は俺に、俺の苦手な佐野さんに会って来いと指示を出し、
「こんな時は、野郎じゃなくてべっぴんさんの見舞いがいいと思うぞ。」
と楽しくて仕方がない顔で帰って行った。
昼前、前日より若干声の出るようになった課長からの電話で生存の確認は出来たものの、心配だからとみんなで加藤さんを課長宅に行かせるように仕組んだのは、課長の早い回復をを願っての事だ。好きな人にお見舞いされるって、一番の薬だよね。羨ましい。。。
加藤さん効果で、課長は今日は朝から出勤してた。めっちゃ笑顔で。そして、加藤さんはなんかもじもじしてたような?何があったんだろう?すごく気になる。
それに比べて、俺って。。。
明日の金曜はあのカフェのお姉さんの最終日。絶対、残業できない。今日は、気が重いけど、明日のために頑張ろう!そう思い気合を入れた。
この時の俺は、これから起こる事をまだ分かっていなかった。知っていたなら、天国と地獄って案外そばにあるってことを俺自身に教えたい。そして、お前、めっちゃ後悔するぞと。
そんな俺の話はいずれまた。。。
華視点
火曜、水曜と休んだ課長は木曜から出勤してきた。課長はいつも通り甘い笑顔で元気そうだったけど、なんだか私は恥ずかしくて挙動不審になっていた気がする。
水曜日、具合の悪い課長を心配しお見舞いに行ったのに、具合が悪くなるほど胸が苦しくなったのは私の方だった。
気だるげな課長はお色気満載で、ときめき過ぎる危険を感じすぐに帰ろうとしたが、引き止められて部屋に入ってしまった。気だるげな課長に少し見慣れてくると、きっとシャワーを浴びて寝てしまったからついた寝癖も、普段の課長とはかけ離れたかわいささえ感じてしまった。イケメンは具合が悪いと危険性レベルの高いイケメンへ進化する。。
そんな事を思っていると、またもやあーんを要求された。今度はスプーンだから、若干マシかもしれないが。
もちろんお断りしようと思ったよ!でもさ、でもさ、なんだかいつもより幼く見えて隙だらけなのに、お色気満載という課長の甘いお願いを断れる経験値は私にはなかった。やっと、苦難の末に『あーん』業務を終えた時、お礼にと食事に誘われてしまった。
しかも、休日。それってデート??そう思うと、かあっと顔が赤くなり、あたふたしている間に
「どこ行きたい?映画でも、プラネタリウムでも、、、あ、いっそのことちょっと遠出する?」と話が進んでしまい断る雰囲気ではなくなってしまった。まあ、行きたくないわけじゃないんだけど。。
課長宅から帰る道すがら、映画も、プラネタリウムもご飯と関係ないよねと後になって気づいたのは、きっと私が課長からの休日のお誘いにドキドキしてしまったせいだ。
課長はどうして誘ったんだろう?、、お礼って言ってたか。お礼で休日出かけるの?そんなモヤモヤループにはまりながら、やって来たのはまた、前の職場。
休日のお出かけに着ていくものがないと昨日気がつき、後輩に意見を聞こうとメールしたら、明日の金曜日19時ごろなら空いてるので是非来てください!とメールが返ってきた。会社用に買った服は佐々木さんや谷口さんに褒められたので、私は後輩の好意に甘える事にした。
きらびやかなクリスマスの飾りを見つつ、コンシェルジュルームに入ると後輩に、
「待ってました!先輩!さっ!早く試着室にっ!」
いきなり試着室に押し込められた。
「そこにある服が候補です!もう、昨日から超考えて、すごい楽しかったです。着てみてください!」
ものすごく不安を感じた。
楽しい?大丈夫なのそれは?
しかし、忙しい後輩にせっかく用意してもらったのだから、と一着づつ試着する。
1着目、赤いワンピース。なんかモコモコしてる?そう思いつつ着たら、
「ちょっと!!ないわこれ!」
「えー!シーズンぴったりなのに。」
赤いワンピースを来てみたら、なんか丈は短いし、モコモコしてるし、どう見てもサンタだよ。
「こういうかんじダメですか?エロサンタ。。」
やっぱサンタじゃん!
どこにプレゼントを配りに行けと言うんだ。
2着目、黒いワンピース。色は大丈夫だし、丈も長い。安心して着てみた。
「ねえ、私に何させる気なの?」
「これもダメですか?お色気攻撃したらいいかと思ったんですよ。」
黒いワンピースを着たら、襟口は深く切り込み、スカートにはスリット。
こんなの着たら、どんなハプニングに遭遇するか分からない!スリットはしばらく厳禁です。
3着目、紺色ワンピース。ワンピースは決まりなんだねと理解した。
色よし、丈よし、スリットなし。必要確認事項を目視し試着する。
「これ、いいかも。。」
3着目にして私も納得できる、色々安心するワンピースだった。
「やっぱり、これにしちゃいます?思った通りすごく似合ってます。先輩これ選びそうだなって思ったんですよー。でも、たまには冒険も必要だと思うんですけど。」
私は冒険など、危険過ぎてできません。
やっと選んだ紺色ニットワンピースは、よーく見るとラメが編み込んであり、程よくフィット感がある。丈はひざ下まで、腰回りもフィットしているが、後ろに10センチほどの切り込みがあるため、歩きやすい。後ろの切り込みの危険性を振り返り確認するが、足をアキレス腱を伸ばすよう後ろに引いても、膝裏がちらりと覗くぐらいだから大丈夫のようだ。袖には控えめな紺色のファーの飾りでなんだか女子っぽさを感じる。
これなら、課長のとなりにいても大丈夫だね。
「服が決まれば、靴はこれかな?これもプライベートブランドなんでおススメです。今なら、クリスマスセール価格だし。」
見ると、かかと部分にグレーのファーのついた紺色ブーティ。
か、かわいい。会社には無理だけど、これならデニムにも合いそうだな。
ボーナス出たし、買っちゃおう!と会計を待っていると、
「これ気持ちです。」
すごく見覚えのある包装紙と言葉。
以前、後輩からの気持ちでエライ目に会った私は気持ちは充分だと断ろうとしたら、
「これは、インフォのチーフからですよ。返すんですか?返したら、、多分ここ出禁ですよ。」
そう言って、ニヤニヤ笑う後輩に、チーフに一体何をこの子は話したんだと心配になった。
しかし何も聞かず、賢い私は受け取った。
なぜって、聞いた方が精神的ダメージが大きそうだから。
「明日のデート、楽しみですね。帰ったら、色々お手入れしなきゃダメですよ!」
カッと顔が赤くなるのを感じながら、
「だから、デートじゃないんだってば。お礼で誘われたの!」
「はーい。休日にわざわざお礼なんですね。律儀な上司さんですねー。」
後輩のニヤニヤが終わらなさそうなので、会計も終わったし早く帰ろう。ここにいたら、また遊ばれそうだわ。
「いいな。優しくてかっこいい上司。私の上司は腹黒なんですよ。全然、優しくないんです。
あ、余計なこと言いました。地獄耳なんです、上司。
先輩、明日のデートの結果報告お待ちしてます!楽しいクリスマスを♪」
ちょっと、心配になるような事を言っていた後輩に見送られ店を出た。
あの子、上司にいじめられてるのかな?ちょっと心配。離れてしまった今は何も出来ないかもしれないが、相談ぐらいのれると思うから、今度久し振りにご飯でも誘って、ゆっくり話を聞いてあげようと思いつつ電車に乗った。
家に帰り、お風呂に入りなんとなく色々お手入れしてみる。
いや、別に、誰に見せるわけじゃないけど!ツッコミつつ、でもせっかく出かけるんだから、ちゃんとしてる方が良いよねと自分を説得する。
もう、後輩が色々言うから。
あ、明日のデートって言われて否定し忘れた。。。デート、、ではない、、と思うんだけど。
どうなんですか課長?
「まじ気が重い。。。」
木枯らしが吹く外を見ながら一人呟く俺。
外の寒々しい景色は俺の心を車窓越しに写すよう。
一昨日、高熱で会社を休んだ課長にまたしても俺の案件で迷惑をかけてしまった。俺の契約案件で、原材料を卸してる業者が製造を辞める事になり他の仕入れ先を早急に探さなければならなかった。どこでも取り扱ってるものなら良かったが、利益の少ない原材料の製造業者は国内業者からは見つけることが出来なかった。困った俺は休んでる課長に指示を仰ぎ、海外担当の一課にも協力をしてもらって、タイの業者から輸入が出来そうだというところまで話がついた。
俺って使えない。。いつも周りに助けてもらってます。。。体調の悪い課長に無理させて自分自身にがっくりきてた俺に和田部長が追い打ちをかけた。
「宮本、お前冴木に頼りすぎ。明日、工場行って品質管理責任者の佐野に経緯説明して来い。
冴木、今日の朝無断欠勤だろ?電話でねえから、家で倒れてんじゃねえか?」
2課にやって来た和田部長は俺に、俺の苦手な佐野さんに会って来いと指示を出し、
「こんな時は、野郎じゃなくてべっぴんさんの見舞いがいいと思うぞ。」
と楽しくて仕方がない顔で帰って行った。
昼前、前日より若干声の出るようになった課長からの電話で生存の確認は出来たものの、心配だからとみんなで加藤さんを課長宅に行かせるように仕組んだのは、課長の早い回復をを願っての事だ。好きな人にお見舞いされるって、一番の薬だよね。羨ましい。。。
加藤さん効果で、課長は今日は朝から出勤してた。めっちゃ笑顔で。そして、加藤さんはなんかもじもじしてたような?何があったんだろう?すごく気になる。
それに比べて、俺って。。。
明日の金曜はあのカフェのお姉さんの最終日。絶対、残業できない。今日は、気が重いけど、明日のために頑張ろう!そう思い気合を入れた。
この時の俺は、これから起こる事をまだ分かっていなかった。知っていたなら、天国と地獄って案外そばにあるってことを俺自身に教えたい。そして、お前、めっちゃ後悔するぞと。
そんな俺の話はいずれまた。。。
華視点
火曜、水曜と休んだ課長は木曜から出勤してきた。課長はいつも通り甘い笑顔で元気そうだったけど、なんだか私は恥ずかしくて挙動不審になっていた気がする。
水曜日、具合の悪い課長を心配しお見舞いに行ったのに、具合が悪くなるほど胸が苦しくなったのは私の方だった。
気だるげな課長はお色気満載で、ときめき過ぎる危険を感じすぐに帰ろうとしたが、引き止められて部屋に入ってしまった。気だるげな課長に少し見慣れてくると、きっとシャワーを浴びて寝てしまったからついた寝癖も、普段の課長とはかけ離れたかわいささえ感じてしまった。イケメンは具合が悪いと危険性レベルの高いイケメンへ進化する。。
そんな事を思っていると、またもやあーんを要求された。今度はスプーンだから、若干マシかもしれないが。
もちろんお断りしようと思ったよ!でもさ、でもさ、なんだかいつもより幼く見えて隙だらけなのに、お色気満載という課長の甘いお願いを断れる経験値は私にはなかった。やっと、苦難の末に『あーん』業務を終えた時、お礼にと食事に誘われてしまった。
しかも、休日。それってデート??そう思うと、かあっと顔が赤くなり、あたふたしている間に
「どこ行きたい?映画でも、プラネタリウムでも、、、あ、いっそのことちょっと遠出する?」と話が進んでしまい断る雰囲気ではなくなってしまった。まあ、行きたくないわけじゃないんだけど。。
課長宅から帰る道すがら、映画も、プラネタリウムもご飯と関係ないよねと後になって気づいたのは、きっと私が課長からの休日のお誘いにドキドキしてしまったせいだ。
課長はどうして誘ったんだろう?、、お礼って言ってたか。お礼で休日出かけるの?そんなモヤモヤループにはまりながら、やって来たのはまた、前の職場。
休日のお出かけに着ていくものがないと昨日気がつき、後輩に意見を聞こうとメールしたら、明日の金曜日19時ごろなら空いてるので是非来てください!とメールが返ってきた。会社用に買った服は佐々木さんや谷口さんに褒められたので、私は後輩の好意に甘える事にした。
きらびやかなクリスマスの飾りを見つつ、コンシェルジュルームに入ると後輩に、
「待ってました!先輩!さっ!早く試着室にっ!」
いきなり試着室に押し込められた。
「そこにある服が候補です!もう、昨日から超考えて、すごい楽しかったです。着てみてください!」
ものすごく不安を感じた。
楽しい?大丈夫なのそれは?
しかし、忙しい後輩にせっかく用意してもらったのだから、と一着づつ試着する。
1着目、赤いワンピース。なんかモコモコしてる?そう思いつつ着たら、
「ちょっと!!ないわこれ!」
「えー!シーズンぴったりなのに。」
赤いワンピースを来てみたら、なんか丈は短いし、モコモコしてるし、どう見てもサンタだよ。
「こういうかんじダメですか?エロサンタ。。」
やっぱサンタじゃん!
どこにプレゼントを配りに行けと言うんだ。
2着目、黒いワンピース。色は大丈夫だし、丈も長い。安心して着てみた。
「ねえ、私に何させる気なの?」
「これもダメですか?お色気攻撃したらいいかと思ったんですよ。」
黒いワンピースを着たら、襟口は深く切り込み、スカートにはスリット。
こんなの着たら、どんなハプニングに遭遇するか分からない!スリットはしばらく厳禁です。
3着目、紺色ワンピース。ワンピースは決まりなんだねと理解した。
色よし、丈よし、スリットなし。必要確認事項を目視し試着する。
「これ、いいかも。。」
3着目にして私も納得できる、色々安心するワンピースだった。
「やっぱり、これにしちゃいます?思った通りすごく似合ってます。先輩これ選びそうだなって思ったんですよー。でも、たまには冒険も必要だと思うんですけど。」
私は冒険など、危険過ぎてできません。
やっと選んだ紺色ニットワンピースは、よーく見るとラメが編み込んであり、程よくフィット感がある。丈はひざ下まで、腰回りもフィットしているが、後ろに10センチほどの切り込みがあるため、歩きやすい。後ろの切り込みの危険性を振り返り確認するが、足をアキレス腱を伸ばすよう後ろに引いても、膝裏がちらりと覗くぐらいだから大丈夫のようだ。袖には控えめな紺色のファーの飾りでなんだか女子っぽさを感じる。
これなら、課長のとなりにいても大丈夫だね。
「服が決まれば、靴はこれかな?これもプライベートブランドなんでおススメです。今なら、クリスマスセール価格だし。」
見ると、かかと部分にグレーのファーのついた紺色ブーティ。
か、かわいい。会社には無理だけど、これならデニムにも合いそうだな。
ボーナス出たし、買っちゃおう!と会計を待っていると、
「これ気持ちです。」
すごく見覚えのある包装紙と言葉。
以前、後輩からの気持ちでエライ目に会った私は気持ちは充分だと断ろうとしたら、
「これは、インフォのチーフからですよ。返すんですか?返したら、、多分ここ出禁ですよ。」
そう言って、ニヤニヤ笑う後輩に、チーフに一体何をこの子は話したんだと心配になった。
しかし何も聞かず、賢い私は受け取った。
なぜって、聞いた方が精神的ダメージが大きそうだから。
「明日のデート、楽しみですね。帰ったら、色々お手入れしなきゃダメですよ!」
カッと顔が赤くなるのを感じながら、
「だから、デートじゃないんだってば。お礼で誘われたの!」
「はーい。休日にわざわざお礼なんですね。律儀な上司さんですねー。」
後輩のニヤニヤが終わらなさそうなので、会計も終わったし早く帰ろう。ここにいたら、また遊ばれそうだわ。
「いいな。優しくてかっこいい上司。私の上司は腹黒なんですよ。全然、優しくないんです。
あ、余計なこと言いました。地獄耳なんです、上司。
先輩、明日のデートの結果報告お待ちしてます!楽しいクリスマスを♪」
ちょっと、心配になるような事を言っていた後輩に見送られ店を出た。
あの子、上司にいじめられてるのかな?ちょっと心配。離れてしまった今は何も出来ないかもしれないが、相談ぐらいのれると思うから、今度久し振りにご飯でも誘って、ゆっくり話を聞いてあげようと思いつつ電車に乗った。
家に帰り、お風呂に入りなんとなく色々お手入れしてみる。
いや、別に、誰に見せるわけじゃないけど!ツッコミつつ、でもせっかく出かけるんだから、ちゃんとしてる方が良いよねと自分を説得する。
もう、後輩が色々言うから。
あ、明日のデートって言われて否定し忘れた。。。デート、、ではない、、と思うんだけど。
どうなんですか課長?