執着系上司の初恋
過去と現在 後半
冴木課長視点
俺は、イライラとしながらバーのカウンターで酒を片手に水槽を眺めていた。
先ほどまでは、彼女が隣にいて、キラキラとした水族館を楽しみ、まさに幸せを感じていたんだ。
今は、この空間を消し去りたいと思うぐらいだ。
周りはクリスマスデートを甘く楽しむカップル達ばかり。同性同士のグループもいるが、少数派だ。
これ見よがしな美しい照明、それを引き立てる暗闇。
こちらの事など視界にも入っていないだろう甘い空気の恋人達。
場違いな俺は、嫌な妄想しか浮かばない。
彼女も元彼と昔はこんな雰囲気でデートしていたんだろうか。
元彼と消えた今、彼女はどうしてる?
彼女を大事に思うが、あの男に傷つけられてほしいとさえ思ってしまう。
そして、どうかかわいい笑顔なんてあんな奴に見せないでとも。
彼女を傷つけておきながら、自分の想いを優先する最低な男。
多分、あいつは彼女を諦めていない。
わざわざ、男連れの彼女に近づくぐらいだ、見栄もプライドも投げ捨てて話しかけてきたに違いない。
でも、自分本位だ。
彼女の気持ちを思いやる余裕さえなくして、自分の想いを優先させた。
隣にいる俺に、嫉妬したのもあるだろう。
彼女を傷つけた事は許せない。でも、あの男が馬鹿な男だから彼女は俺の前に現れた。
そこだけは感謝する。
お前に、彼女はもったいない。どうか手酷く嫌われ、彼女の前に二度と姿を現わすな。
どこかに当り散らしたい様なイライラとした気持ちを、酒でもう一度腹の中に流し込む。
溜まったドロドロとした想いは、俺の心をこれでもかと嫉妬の塊で満たす。
ああ、もう限界だ。
彼女が俺の所に戻ってきたら、その時は、、、
そんな想いに至った時、彼女が戻ってきた。
「はぁ、あ、課長じゃなくてユウマさん!お待たせしてすみません。」
走って帰ってきた彼女は息が乱れていた。
その姿に、先ほどまで暗闇ばかり気になったこの場所が、もう一度キラキラと輝きだした気がした。
しかし、彼女の顔を見て思う事は、
安堵と怒り。
「華、そんな顔して、、歩けないだろ?もうここは出よう。」
彼女の手を握り、足早に水族館を出て駅前でタクシーを拾う。
「どうしたんですか?課長?えっと、ユウマさん?」
タクシーの中で彼女が聞く。
先ほどから掴んだ手は、今は彼女の手の甲を上から優しく包み込んでいる。
「俺の家に行く。今日はもうどこも混んでるから、これから入れる店を探すのは難しいだろ。それに、そんな顔した華を連れ回したくない。」
それだけ言うと、俺は窓越しに見える道路沿いのクリスマスイルミネーションに目をやった。
今は、その煌びやかさにウキウキとした気持ちは持てない。
20分もしないで彼女を連れ、家にたどり着いた。
前回と同じ様に、ダイニングのソファに座らせ、コートを預かる。
コートを脱いだ彼女に、視覚的な攻撃を受けた。
紺色のニットワンピースで身を包んだ彼女は、その身体のラインの艶かしさをを余す事なくこちらに伝える。
コートを脱ごうと前かがみになり胸を突き出した彼女に、一気に欲望を刺激される。
彼女を抱きたい。
今すぐ。
俺はもう、、我慢なんて出来ない。
そう思った時、
「ユウマさん、今日はありがとうございました。元彼と話せて良かったです。」
彼女が言った。
何が、良かったの??俺は良いことなんて何もないんだけど。
彼女の前に俺のお気に入りの酒を炭酸で割ったものを出す。
「外にいたんだろ。手が物凄く冷たかった。これ飲んで、あったまった方がいい。」
冷蔵庫の中は大したものはない。つまみの缶詰や、ナッツ類を出し、自分の酒をグラスに入れ彼女の横に座る。
「ごめん、ほんと大したものなくて。後で、ピザでもとろうか。」
酒を煽りつつ、彼女を見つめる。
「いえ、とんでもないです。なんか誘っていただいたのに気を使わせるばかりで。」
彼女は俺が怒っていると思っているんだろうか。
「俺怒ってないよ、華には。元彼には腹立ってるけど。
。。。元彼だろ?結婚をやめたって言ってた。」
一応、確認する。
「ふふ、そうですよね。あんな感じでバレないわけないですよね。
もう、課長には変なとこばかり見られちゃってカッコ悪いです。」
彼女は笑っている様で、泣いているみたいだ。
「やり直そうとでも言われたのか?」
一番聞きたかった事を聞く。
「いえいえ、そんな事は言ってません。ただ、なんで浮気したのかと悪かったって深々と謝られました。今更ですよね。今更、なんでそんな事、、。もう、どうだっていいんです。元彼のことなんて。本当に!」
彼女はグイッと酒を流し込む。
本当にどうでも良かったら、そんな傷ついた顔しないだろ。まだ、好きなのか?あんなやつを。
ドロドロと、嫉妬の塊が煮え立つ様だ。
彼女に、この思いをぶつけるのは俺の勝手だ。俺が彼女を好きだから、勝手に嫉妬してイライラしてる。そんな想い、彼女にとって迷惑でしかない。俺も元彼と大して変わらないのか。彼女の気持ちを優先したいのに。
「。。バーに、戻ってきた時、華、また仮面被ってた。周囲から自分を守るように。
だから、家に連れてきた。そんな顔させたくなかった。」
そう、俺は彼女が俺の所に戻ってきて安堵したが、怒りもあった。元彼に。
彼女がせっかく脱いだ仮面をもう一度つけていたから。
感情を押し殺すその表情に、傷つけられたらいいなんて思った自分の馬鹿さ加減にも腹が立った。
俺は彼女に笑って欲しい。願わくば、俺の隣で。
「っふ、、くっ。。な、、んで課長には分かっちゃう、、、んだろ。。」
彼女はポタポタと抑えきれない涙をこぼし、力任せに手で拭った。
もう一方の手は固く膝の上で握り締められている。
頼りないその姿は俺の心を抉る様に突き刺さった。
彼女をこんなにも傷つけられる事が出来る元彼の存在が彼女の中でまだ大きな事が悔しくて、辛かった。
「元彼が浮気したのが原因で別れたから、絶対元彼が悪いんです。
それなのに、、私、自分も元彼をちゃんと見てなかったんだと思って、、ちゃんと元彼を好きだと伝えてなかった、とか、浮気の兆候があった時も、別れる時も自分が傷つきたくないって逃げ出して、、結局、自分の事ばかりだった、、って思うと、、。」
彼女はしゃっくりをあげ泣き出した。
俺は、ピンと張った糸が切れる気がした。
彼女の止まらない涙。
それは元彼のため?
元彼が好きだから?
そう思ってしまうと、彼女の気持ちを、、とか「好き」のレベル、種類とかはもう考えられなかった。
いつもの酒を口に含む。彼女が好きだと言ったこの酒を。
そして、泣いてる彼女の顔を優しく包み込んで上を向かせたら、
首をかかげてキスをした。
俺の好きが彼女に伝わる様に、優しく唇を合わせる。
こんな時なのに、初めて感じる彼女の唇の温度、感触に喜びを感じる。
そして、強引に舌を差し入れる。少し、酒を彼女の口の中に流し入れる。
間違っても気管支に入らない様、ゆっくりと、ゆっくりと。
舌に酒を絡ませて、彼女の口の中を温める様に。
彼女の甘い唾液と酒が絡み合い俺を甘く、熱く酔わす。
彼女がそれをゴクリと飲み干す。
そして、こちらの胸を叩いた彼女は、顔を離し、真っ赤な顔で咳き込みながら、
「か、課長!?酔ってるんですか?どうして?」
彼女が慌てるうちにまた、口に酒を含み、彼女のさらさらとした髪の中に手を差し入れ、両手で頭を掴んで優しく唇を押し当てキスをする。少し濡れている唇はしっとりとしていた。
そして、唇を舌で押し開き、自分の舌で彼女の舌の上に酒をちょっとづつ流す、身体に酒を染み込ませるように。
キスをしながら、彼女の唇が自分の唇と離れない様に片手で、首と後頭部を固定させ、もう一方の手で、彼女の華奢な背中を撫で上げる様に抱きしめる。彼女の体温を感じ、服の上から骨格をなぞる事でその身体をさらに暴きたくなる。
彼女の口の中、息からは甘いバニラの香り。
彼女の香りを変えていくなんとも言えない愉悦。
もう、彼女の心を待つ余裕などなくなった俺はきっと獣の様な顔をしている。
彼女のこめかみから後頭部までを両手で掴み、互いの額を合わせ、鼻がぶつかる様な距離で囁く。
「酔っ払って、俺に抱かれろ。
何も考えられなくなればいい。」
俺は、イライラとしながらバーのカウンターで酒を片手に水槽を眺めていた。
先ほどまでは、彼女が隣にいて、キラキラとした水族館を楽しみ、まさに幸せを感じていたんだ。
今は、この空間を消し去りたいと思うぐらいだ。
周りはクリスマスデートを甘く楽しむカップル達ばかり。同性同士のグループもいるが、少数派だ。
これ見よがしな美しい照明、それを引き立てる暗闇。
こちらの事など視界にも入っていないだろう甘い空気の恋人達。
場違いな俺は、嫌な妄想しか浮かばない。
彼女も元彼と昔はこんな雰囲気でデートしていたんだろうか。
元彼と消えた今、彼女はどうしてる?
彼女を大事に思うが、あの男に傷つけられてほしいとさえ思ってしまう。
そして、どうかかわいい笑顔なんてあんな奴に見せないでとも。
彼女を傷つけておきながら、自分の想いを優先する最低な男。
多分、あいつは彼女を諦めていない。
わざわざ、男連れの彼女に近づくぐらいだ、見栄もプライドも投げ捨てて話しかけてきたに違いない。
でも、自分本位だ。
彼女の気持ちを思いやる余裕さえなくして、自分の想いを優先させた。
隣にいる俺に、嫉妬したのもあるだろう。
彼女を傷つけた事は許せない。でも、あの男が馬鹿な男だから彼女は俺の前に現れた。
そこだけは感謝する。
お前に、彼女はもったいない。どうか手酷く嫌われ、彼女の前に二度と姿を現わすな。
どこかに当り散らしたい様なイライラとした気持ちを、酒でもう一度腹の中に流し込む。
溜まったドロドロとした想いは、俺の心をこれでもかと嫉妬の塊で満たす。
ああ、もう限界だ。
彼女が俺の所に戻ってきたら、その時は、、、
そんな想いに至った時、彼女が戻ってきた。
「はぁ、あ、課長じゃなくてユウマさん!お待たせしてすみません。」
走って帰ってきた彼女は息が乱れていた。
その姿に、先ほどまで暗闇ばかり気になったこの場所が、もう一度キラキラと輝きだした気がした。
しかし、彼女の顔を見て思う事は、
安堵と怒り。
「華、そんな顔して、、歩けないだろ?もうここは出よう。」
彼女の手を握り、足早に水族館を出て駅前でタクシーを拾う。
「どうしたんですか?課長?えっと、ユウマさん?」
タクシーの中で彼女が聞く。
先ほどから掴んだ手は、今は彼女の手の甲を上から優しく包み込んでいる。
「俺の家に行く。今日はもうどこも混んでるから、これから入れる店を探すのは難しいだろ。それに、そんな顔した華を連れ回したくない。」
それだけ言うと、俺は窓越しに見える道路沿いのクリスマスイルミネーションに目をやった。
今は、その煌びやかさにウキウキとした気持ちは持てない。
20分もしないで彼女を連れ、家にたどり着いた。
前回と同じ様に、ダイニングのソファに座らせ、コートを預かる。
コートを脱いだ彼女に、視覚的な攻撃を受けた。
紺色のニットワンピースで身を包んだ彼女は、その身体のラインの艶かしさをを余す事なくこちらに伝える。
コートを脱ごうと前かがみになり胸を突き出した彼女に、一気に欲望を刺激される。
彼女を抱きたい。
今すぐ。
俺はもう、、我慢なんて出来ない。
そう思った時、
「ユウマさん、今日はありがとうございました。元彼と話せて良かったです。」
彼女が言った。
何が、良かったの??俺は良いことなんて何もないんだけど。
彼女の前に俺のお気に入りの酒を炭酸で割ったものを出す。
「外にいたんだろ。手が物凄く冷たかった。これ飲んで、あったまった方がいい。」
冷蔵庫の中は大したものはない。つまみの缶詰や、ナッツ類を出し、自分の酒をグラスに入れ彼女の横に座る。
「ごめん、ほんと大したものなくて。後で、ピザでもとろうか。」
酒を煽りつつ、彼女を見つめる。
「いえ、とんでもないです。なんか誘っていただいたのに気を使わせるばかりで。」
彼女は俺が怒っていると思っているんだろうか。
「俺怒ってないよ、華には。元彼には腹立ってるけど。
。。。元彼だろ?結婚をやめたって言ってた。」
一応、確認する。
「ふふ、そうですよね。あんな感じでバレないわけないですよね。
もう、課長には変なとこばかり見られちゃってカッコ悪いです。」
彼女は笑っている様で、泣いているみたいだ。
「やり直そうとでも言われたのか?」
一番聞きたかった事を聞く。
「いえいえ、そんな事は言ってません。ただ、なんで浮気したのかと悪かったって深々と謝られました。今更ですよね。今更、なんでそんな事、、。もう、どうだっていいんです。元彼のことなんて。本当に!」
彼女はグイッと酒を流し込む。
本当にどうでも良かったら、そんな傷ついた顔しないだろ。まだ、好きなのか?あんなやつを。
ドロドロと、嫉妬の塊が煮え立つ様だ。
彼女に、この思いをぶつけるのは俺の勝手だ。俺が彼女を好きだから、勝手に嫉妬してイライラしてる。そんな想い、彼女にとって迷惑でしかない。俺も元彼と大して変わらないのか。彼女の気持ちを優先したいのに。
「。。バーに、戻ってきた時、華、また仮面被ってた。周囲から自分を守るように。
だから、家に連れてきた。そんな顔させたくなかった。」
そう、俺は彼女が俺の所に戻ってきて安堵したが、怒りもあった。元彼に。
彼女がせっかく脱いだ仮面をもう一度つけていたから。
感情を押し殺すその表情に、傷つけられたらいいなんて思った自分の馬鹿さ加減にも腹が立った。
俺は彼女に笑って欲しい。願わくば、俺の隣で。
「っふ、、くっ。。な、、んで課長には分かっちゃう、、、んだろ。。」
彼女はポタポタと抑えきれない涙をこぼし、力任せに手で拭った。
もう一方の手は固く膝の上で握り締められている。
頼りないその姿は俺の心を抉る様に突き刺さった。
彼女をこんなにも傷つけられる事が出来る元彼の存在が彼女の中でまだ大きな事が悔しくて、辛かった。
「元彼が浮気したのが原因で別れたから、絶対元彼が悪いんです。
それなのに、、私、自分も元彼をちゃんと見てなかったんだと思って、、ちゃんと元彼を好きだと伝えてなかった、とか、浮気の兆候があった時も、別れる時も自分が傷つきたくないって逃げ出して、、結局、自分の事ばかりだった、、って思うと、、。」
彼女はしゃっくりをあげ泣き出した。
俺は、ピンと張った糸が切れる気がした。
彼女の止まらない涙。
それは元彼のため?
元彼が好きだから?
そう思ってしまうと、彼女の気持ちを、、とか「好き」のレベル、種類とかはもう考えられなかった。
いつもの酒を口に含む。彼女が好きだと言ったこの酒を。
そして、泣いてる彼女の顔を優しく包み込んで上を向かせたら、
首をかかげてキスをした。
俺の好きが彼女に伝わる様に、優しく唇を合わせる。
こんな時なのに、初めて感じる彼女の唇の温度、感触に喜びを感じる。
そして、強引に舌を差し入れる。少し、酒を彼女の口の中に流し入れる。
間違っても気管支に入らない様、ゆっくりと、ゆっくりと。
舌に酒を絡ませて、彼女の口の中を温める様に。
彼女の甘い唾液と酒が絡み合い俺を甘く、熱く酔わす。
彼女がそれをゴクリと飲み干す。
そして、こちらの胸を叩いた彼女は、顔を離し、真っ赤な顔で咳き込みながら、
「か、課長!?酔ってるんですか?どうして?」
彼女が慌てるうちにまた、口に酒を含み、彼女のさらさらとした髪の中に手を差し入れ、両手で頭を掴んで優しく唇を押し当てキスをする。少し濡れている唇はしっとりとしていた。
そして、唇を舌で押し開き、自分の舌で彼女の舌の上に酒をちょっとづつ流す、身体に酒を染み込ませるように。
キスをしながら、彼女の唇が自分の唇と離れない様に片手で、首と後頭部を固定させ、もう一方の手で、彼女の華奢な背中を撫で上げる様に抱きしめる。彼女の体温を感じ、服の上から骨格をなぞる事でその身体をさらに暴きたくなる。
彼女の口の中、息からは甘いバニラの香り。
彼女の香りを変えていくなんとも言えない愉悦。
もう、彼女の心を待つ余裕などなくなった俺はきっと獣の様な顔をしている。
彼女のこめかみから後頭部までを両手で掴み、互いの額を合わせ、鼻がぶつかる様な距離で囁く。
「酔っ払って、俺に抱かれろ。
何も考えられなくなればいい。」