執着系上司の初恋
二人の幾久しく幸せな日々 エピローグ
2課視点

12月25日
午前8:45

「ねえ、課長からメール来たの?」
乙女な佐々木女史はウキウキとして冷静沈着男子山城に聞く。

「ないですよ。連絡ないってことは何も問題なかったんじゃないですか?」
いつもながらに面白味のない山城。

「それか、デートに失敗してガックリきちゃってメールもできない、とかね。」
なかなかの毒舌も、この人らしい美魔女谷口さん

「えっー!イケメンの失恋、、、。それはそれで、気になるわね。」
興味は色々、佐々木女子。その佐々木女子があることに気づく。
「ねえ、宮本くんどうしたのかしら?」
三人が宮本を見つめる。

今日の忠犬宮本は一味違った。
まず、挨拶は小さめ。
「はよ、、、うございまする。」
ついでに日本語おかしめ。
服装も、ストライプのおしゃれスーツだが、シャツもストライプ、ネクタイも斜めストライプ。
そんなにストライプ好きだった?という、全体的に残念仕様。
今は、ぼうっと暗いパソコン画面を見つめている。
金曜日はやたらいそいそと会社を飛び出して行ったのに、この土日一体何があったんだ。
みんなが心配と興味を持ち始めた時、

「おはよう!」
「、、お、おはようございます。。。」
噂の二人の出勤だった。
イケメンスマイルが全開の冴木課長と、その課長に腰を支えられるようにして隣に立つ加藤さん。その顔は、赤く染まりなんだか色気を感じてしまう。

ついにヤッたんだな。
しかも濃いやつ。

2課の総意

しかし、かける言葉は各々違う。

「いやーん。ついに、ついに、恋が実ったのね。おめでとう!課長!
あ、加藤さんも、課長の愛は重かったのかしら?大丈夫?」
佐々木女史は、加藤さんの羞恥心をこれでもかと抉るが、本人に悪気はない。

「良かったですね。実は心配してました。課長が暴走しそうだと。
加藤さんが受け止めてくれて何よりです。」
暴走するって予測はしてたんだね。さすが山城。

「つけあがらせちゃダメよ。何事も最初が肝心。
今度、駄犬の調教術教えてあげる。」
加藤さんを純粋に心配しての発言だが、何やら別の扉を開きそうな気配。
大人の世界へのお誘いはほどほどに、、美魔女谷口さん。

そして、今日はキラキラが半減どころか、存在感がスカスカの忠犬宮本は
「幸せそっすね。クリスマスだもんね。。なによりっす。。」
一応祝っている様だが、宮本の顔は道端のダンボールの中で捨てられた子犬が兄弟犬が先にもらわれていくのを羨ましく、また悲しそうに見つめている様だった。

ようやく気がついた山城は、皆から離れ宮本の元へ行き話しかける。
「お前、やっぱりそうなのか?」と山城
「やっぱりってなんですか?」と宮本
「無自覚なのか?お前ひどい顔してるぞ。気持ちは分からなくはない。だが、現実を見ろ。今更だろ?もうどうにもならないぞ。」と辛そうに言う山城
「!山城さん。。なんでも分かるんですね。やっぱり、、もう無理ですかね?」
どんよりとうなだれる忠犬宮本。
「いくらお前が綺麗な顔してても、加藤さんには敵わないぞ。」
厳しい顔の山城
「?え?加藤さん?」
ハテナな顔の宮本
二人には大きな認識の相違がある様だ。

そんな二人のやりとりなんてどうでもいい冴木課長は
「みんなに色々と心配かけたが、ようやく恋人同士になれた。
プライベートで心配をかけるなんて、上司として申し訳なかった。
これからは、仕事もこれまで以上に結果を出してみせる。みんなよろしく。」
男子2人に牽制をかけつつ、ただ、ただのろけたい男の交際宣言。

いい加減にしろ

これも2課プラス加藤の総意

「さ、今日も仕事始めるわよ!」

「今日の会議、課長出てくださいね」

「溺愛仕様の課長、それも、それでお腹一杯ね。」

「、、現実って、捨てられたってこと?、、」

「いい加減、離してください。仕事とプライベートの区別がない人は嫌いです!」
「!!ちょっと、和田部長の所へ行ってくるよ。こないだの案件の進捗聞いてくる。」

2課は今日も多忙で、和気あいあいとしている。
一名、先行きの見えない者はいるが。
イケメンが故に苦労の絶えない冴木課長が、恋の辛い失敗から殻にこもってしまった真面目女子の華を、本当に捕まえるまでは、もう一山、もうふた山?越えるべき山はあるかもしれません。
でも、二人ならきっと幸せになれそうです。
ふたりに幾久しく幸せな日々を。




12月中、毎日の更新を絶えずお読みいただいた読者の皆様、本当にありがとうございます。
幸せな1ヶ月でした。
皆さんにも、今年は先短くなりましたが、来年も良い年でありますように。
いつも心に幸せな妄想を。月夜でした。


忠犬救済はまた後日!もしかしたら短編?連載?4、5話程度になるやもしれません。
またぜひその時にお会いしましょう。



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