執着系上司の初恋
警戒するイケメン上司
「広報より本日付で異動になりました加藤です。よろしくお願いします。」

口元に微笑を浮かべた加藤は、2課の部員に挨拶をした。

思っていたほど、無愛想でもないかもしれない。
彼女のいでたちを眺めて感じることは、グレーのジャケットに白いシャツ、スカートは細身でひざ下、靴はそれほど高くもなく低くもなく、髪型は黒い長い髪を一つに結んでいるが、全体的にスレンダーだからか不思議と野暮ったい感じではなく、メイクも色味を抑えたナチュラルなのも好感が持てる。
声も落ち着いていてキャイキャイ騒ぐタイプでもなさそうだ。
そう、つまり、俺は社内の甲高い声で、上目使いのデートや食事の誘いをめげずに何度もしてくるキラキラ系女子と比べればこの多少地味な加藤に好感を持ったという事。

しかし、社内で女に絡むといい事ないのはすでに経験済み。

女は外で、これはもう家訓でいいよね。

「では、加藤さんにはとりあえず佐々木さんから加藤さんにゆくゆく担当してもらう顧客の契約見せてもらって、わからない事あったら、山城に聞いてください。ただ、山城はうちのエースだから社外にいるケースも多い。その場合いる人間に聞いてくれ。みんな優秀だから。」

「ありがとうございます。出来る限り早く戦力になるよう努力します。」
ぺこりと頭を下げて彼女は、山城に挨拶し、佐々木さんの元へ行った。

「、、、。」

自慢じゃないが、今まで初対面の女子には、赤面されたり、うっとりと見つめられる事に慣れていた俺は、ちょっと拍子抜けした。あまりに彼女が普通で。

まあ、警戒はしたほうがいい。女は腹のなかは真っ黒なのがほとんどだ。

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