黒い羽の天使へ
「…んでさ、いつ描くの??」


理沙の質問で思考をもとに戻す。


「今週末は大会あるからムリだわ」


「あぁ、陸上部?」


「いや、今回はバスケ。陸上部は先週」


「うわ、大変。ほんとは何部だっけ?」


「帰宅部でっせ」


「ふははははっ!さっすがだわっ!」


「あたし理沙のそーゆーところ好きよ(笑)」


この子といるとほんとに楽だ。


もったいないとか才能がどうとか

理沙はぜったい言わない。


そして、
あたしがどれだけいい人に見えても

理沙に頼み事をされたことは一度もない。


欲望が人より少ないのか

理沙の瞳はとてもキレイなのだ。





サキュバスは欲望を好む。



でもあたしは、

欲望にまみれた人間の瞳は、

どうしても好きにはなれない。

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