<茜色の笑顔>
〜最初で最後〜
今日は、
あかねの退院の日だ。
でも、
あかねは退院できなかった。
入院が長引いた。
盲腸だと医者は言っていた。
そんなのウソだった。
よくある話だ。
本当は「ガン」
しかも、
かなり進んでいて
助かる見込はない。
そう言われた。
俺は、信じられなかった。
あかねが死ぬなんて信じられなかった。
じいちゃんはずっと泣いていた。
あかねは自分が「ガン」であることを知らない。
盲腸だと思ってる。
「もう、最悪、退院だと思ったのになんで盲腸なの?カメラ買いに行くって約束したのに」
「明日、見に行ってくるよ」
俺は、悲しいのを我慢した。