<茜色の笑顔>
〜手紙〜

あかねが死んでから3日。

写真館に手紙が届いた。

あかねからだった。

じいちゃんと俺に、一通ずつ手紙が入ってた。

じいちゃんは、あかねが死んでから初めて泣いた。

手紙がくしゃくしゃだった。

俺も手紙を読んだ。



朝陽へ、

朝陽いろいろありがとう。

この半年、
ものすごくおもしろかったよ。

でも、なかなか笑えなくて、

朝陽が私を撮ってくれたあの日、

カメラを忘れていったでしょ。

バカだなぁ。朝陽は、

でも、カメラを見てて、

朝陽とおじいちゃんのことを考えて思ったんだ。

笑わないで人生が終わるなんて、
嫌だって。

だから、
病室で笑う練習したんだよ。

どうやったら笑うことができるのか考えて、

笑うことができたの。

朝陽とおじいちゃんが、
幸せでありますようにって、

私が死んでも、
元気でいますようにって、

そしたら、
笑えたんだ。

おもしろいとか、
そういう気持ちじゃなくて、

大好きだって気持ちが、
私を「笑顔」にしてくれた。

本当にありがとう。

人生の最後に「笑顔」になれて、

ほんとによかった。

大好きだよ朝陽。

かわいいかわいい
あかねより☆

俺は涙がとまらなかった。

俺やじいちゃんが
あかねを「笑顔」にしたなんて、

うれしすぎた。

かなしすぎた。




俺は会社を辞めた。

写真を撮ると決めた。

いろんな国を周ってたくさんの「笑顔」を写真におさめようと決めた。

写真家になって
たくさんの「笑顔」を見て周る。

それが今の俺の夢だ。
< 18 / 19 >

この作品をシェア

pagetop