<茜色の笑顔>
〜手紙〜
あかねが死んでから3日。
写真館に手紙が届いた。
あかねからだった。
じいちゃんと俺に、一通ずつ手紙が入ってた。
じいちゃんは、あかねが死んでから初めて泣いた。
手紙がくしゃくしゃだった。
俺も手紙を読んだ。
朝陽へ、
朝陽いろいろありがとう。
この半年、
ものすごくおもしろかったよ。
でも、なかなか笑えなくて、
朝陽が私を撮ってくれたあの日、
カメラを忘れていったでしょ。
バカだなぁ。朝陽は、
でも、カメラを見てて、
朝陽とおじいちゃんのことを考えて思ったんだ。
笑わないで人生が終わるなんて、
嫌だって。
だから、
病室で笑う練習したんだよ。
どうやったら笑うことができるのか考えて、
笑うことができたの。
朝陽とおじいちゃんが、
幸せでありますようにって、
私が死んでも、
元気でいますようにって、
そしたら、
笑えたんだ。
おもしろいとか、
そういう気持ちじゃなくて、
大好きだって気持ちが、
私を「笑顔」にしてくれた。
本当にありがとう。
人生の最後に「笑顔」になれて、
ほんとによかった。
大好きだよ朝陽。
かわいいかわいい
あかねより☆
俺は涙がとまらなかった。
俺やじいちゃんが
あかねを「笑顔」にしたなんて、
うれしすぎた。
かなしすぎた。
俺は会社を辞めた。
写真を撮ると決めた。
いろんな国を周ってたくさんの「笑顔」を写真におさめようと決めた。
写真家になって
たくさんの「笑顔」を見て周る。
それが今の俺の夢だ。