<茜色の笑顔>
①
家への帰り道に、
小さな写真館がある。
いつも、
仕事が終わった頃にはしまっていて、
あいているところを見たことがなかった。
でも、
今日は店の電気がついている。
なぜか気になって店のドアを開けた。
「いらっしゃい」
店の中は思ったより広く、
壁にいくつも写真がかけられていた。
その写真のほとんどが人を写したもので、
みんな「幸せ」を感じさせる「笑顔」だった。
「写真に興味があるのかい?」
店の主人が言った。
「店の明かりがついていたから入ってみようかなって、いつもこの時間はしまっているから」
「今日は孫が来るから開けておるんだ」
ニコニコしながら店の主人は言った。