<茜色の笑顔>
②
しばらく
店内を見ていると、
一枚だけ「笑顔」ではなく
「無表情」の写真があった。
17、8の女の子の写真で
遠くを見つめるようなそんな写真。
「おぅ、おかえりあかね」
振り返るとそこには、
写真と同じ女の子が立っていた。
「来てくれてうれしいよ」
店の主人はうれしそうだ。
でも、
彼女には
「笑顔」はなく、「無表情」
へんなの。
俺の心の声が聞こえたみたいに、
彼女がこっちを向いた。
「お客さん?」
「あぁ、まだ閉めないからゆっくり見ていってくれ」
そう言って店主は奥のほうへ入っていった。