絶対やせてやる!

「はい、みのりさん。」

夕くんが手を差し出してくれた。

「大丈夫だよ。」

と言ってみたが夕くんは黙って手を取ってくれた。


ドキドキ・・・


「ごめんね。何か・・手え汗っぽいし・・・。」

「そう?気になんないよ。」


優しい夕くん・・・士幌と大違い。



管理棟に戻って来るとそこに士幌と夕くんのお母さんが居た。


「お疲れ様。若木さんこれ。それじゃあ・・。」

そう言って、私にまたカゴを渡すと

「ありがとうございます。」

とお礼を言うか言わないうちに慌てて中に入って行ってしまった。


夕くんのお母さん・・・泣いてた?


そのことを気にかける間もなく、

「おやおや。また仲良さそうに。」

士幌が嫌味を言ってきた。


ハッと気づく・・・


手をつなぎっぱなしだった・・・。


私はまだつないでいた手を慌てて離そうとしたが、

「そうだよね。仲良しだもんね。みのりさん。」

と夕くんがつないだ手を振りながら言った。


士幌が不愉快そうな顔をしたのを見て、

「上川さんも仲良くすれば?」

と余計なことを言う夕くん。


やめてってば・・・。


「あのねえ~、夕くん・・・。」

そう言いかけた時、

「急な仕事が入ったから、これから帰る。
悪いけど仲良くなる暇は無いな。」


士幌が冷たくそう言った。


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