絶対やせてやる!

そして・・・4日目の朝がやって来た。

最後のウォーキングだ。

やっぱり妹は起きず私一人。

管理棟の前。夕くんの飛びっきりの笑顔。

「おはよう、みのりさん。」

「おはよう、夕くん。」


これで最後だ。

いつものコースを歩き始めた。

「大丈夫?みのりさん。」

「うん・・・少し慣れた。」


本当に3回目になるとこの道がそんなに永遠に続くように思えなかった。


でも、今日はもう少し続いてほしいと思った。


「ねえ、夕くん。聞いていい?」

「何?」


気に掛かっていたこと。

「上川士幌のことだけど・・・。」

「上川さん?」

「うん・・・いや・・・何でもない。
ただ・・あいつってムカつくやつだったよね。」


やっぱやめとこう・・・

余計なお世話だし・・・。

そう思ってごまかそうとしたら

「上川さんって僕と似てるでしょ?」

夕くんが急にそう言った。

「え?」

「上川さんって・・・僕の兄さんだよ。」

「え?」


知ってたの?


「その顔、みのりさんも知ってたね。」

「あ・・・うん、まあ。」

じゃあなんで?

「実の兄の名前も知らない訳ないよ。知ってたけどあえて言わなかったんだ。」

「なんで?」

分からない・・・士幌の気持ちも夕くんの気持ちも。

親の離婚と兄弟の絆は別でしょ?

そう思う私の理解不足を・・・夕くんが教えてくれた。
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