絶対やせてやる!
「あ、すみません。海外が長かったんでつい・・・。」


彼は手を引っ込めた。

海外が長い?やっぱりこの人正体不明だ。

もしかして、彼のちょっと外れた行動と言動はそのせいなんだろうか?


「みのりさんも特定の人は居ないんですよね。」


勝手にそう決め付け(そうなんだけど・・・)書庫の中を歩き出した。

そのまま居られるより歩き回られるほうが落ち着かない。


「僕、思ったんですけど・・・

こうやって再会したのも何かの縁だと思うんです。」


私は書棚のファイルを意味も無く取り出しまた戻した。


「そうですか?」


取り合えずあんまり彼の意見に同意しない方が良さそうだ

と判断して受け流す作戦に出たが・・・


「こうゆう狭い部屋って落ち着かないですね。」

彼が言い

「そうですか?」

受け流したつもりが・・・


うわっ!


気がついたら彼はすぐ隣に立っていて・・・

「な、何ですか?」

持っていた分厚いファイルが手から滑り足の上に・・・落ちた。

「痛!」

涙が出るほど痛かった・・・絶対アザになってる・・

「大丈夫ですか?」


大丈夫じゃないよ・・・


ビックリしたあ・・・気がついたらすぐ隣にいて・・・

彼は落としたファイルを拾い


「動揺させてすみません。」


そう言って笑った。

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